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「食料・農業・農村基本法の検証・見直しに関する意見」を提出しました

2023.07.14
要望・声明

公益財団法人 日本自然保護協会は、「食料・農業・農村基本法の検証・見直し」 に関する意見を農林水産省に提出しました。

意見の概要

  • 意見1:法律の目的に、「自然環境の保全」を位置づけ、農地の生物多様性を保全して持続可能な農業を実現させる
  • 意見2:持続可能な農業の主流化の方針を明記する
  • 意見3:基本計画の施策の有効性を評価するために農地の生物多様性の指標を設定する
  • 意見4:基本計画にある施策の有効性を評価するため、農地の生物多様性のモニタリングと評価の体制を整備する

提出した意見

食料・農業・農村基本法の検証・見直しに関する意見(PDF/153KB)

こちらの解説記事を併せてお読みください。


食料・農業・農村基本法の検証・見直しに関する意見

意見1:法律の目的に、「自然環境の保全」を位置づけ、農地の生物多様性を保全して持続可能な農業を実現させる

今回の見直しでは4つの基本理念を修正することが提案されていますが、その上位となる法律の目的に「持続可能な農業の基盤となる自然環境の保全」を位置づける必要があります。なぜなら、現行の食料・農業・農村基本法は、基本理念として、自然環境の保全を含む「多面的機能の発揮」を追加したものの、その後も農業の基盤となる生物多様性が低下し、農業の持続可能性が危ぶまれているためです。花粉を媒介する昆虫、土壌を作る生物や、在来の天敵等の生物多様性を活かした持続可能な農業を実現する必要があります。

意見2:持続可能な農業の主流化の方針を明記する

持続可能な農業を実現するための手法として、農家が行政から補助金などの支援を受ける際の条件として、自然環境保全等の行為を義務づけるクロスコンプライアンス要件の設定があります。農業環境政策の先進地域のEUでは、全事業に対してこの要件が設定されているのに対し、日本では十分ではありません。そこで、みどりの食料システム戦略において明記された「クロスコンプライアンス要件の拡充」をP38【(持続可能な農業の主流化】の中に追記し、持続可能な農業を実現する方針を明記する必要があります。

意見3:基本計画の施策の有効性を評価するために農地の生物多様性の指標を設定する

基本計画の施策の有効性を示す指標(KPI)として、持続可能な農業の基盤となる農地の生物多様性の指標を追加するため、P43の16行目の文中の指標の1つとして、【昆明・モントリオール生物多様性枠組の実現のため、生物多様性保全を含む自然環境保全等の持続可能性】を追記する必要があります。生物多様性条約第15回締約国会議において決議されたネイチャーポジティブの実現に向けて持続可能な農業への転換が重要であり、そのための目標設定が必要です。

意見4:基本計画にある施策の有効性を評価するため、農地の生物多様性のモニタリングと評価の体制を整備する

今回の見直しで提案された基本理念の1つ「環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業」の基盤となる農地の生物多様性ついて、その現状を把握し、評価するための体制は十分ではありません。例えば、多面的機能支払交付金に基づく全国3,477団体(2017年度)の生物調査が施策の評価に活用されていません。そこで、基本計画の施策評価のため、農地の生物多様性のモニタリングと評価の体制を整備することをP43の「(1)食料・農業・農村基本計画」の中に追加する必要があります。

以上

提出者:
公益財団法人 日本自然保護協会 理事長 亀山 章
〒104-0033東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
提出日:
2023年7月12日
提出先:
農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo01/230622.html

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以上

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