「15年後はどうなっている?」未来を考えるワークショップを開催
こんにちは、市民活動推進室の後藤ななです。
10月3日に、大分県由布市にて、主に県内で活動されているモニ1000※の里地調査員や自然観察指導員の方を対象として、大分調査発表会・交流会を開催しました。当日は、午前中に、市民調査の意義と成果共有を目的とした各地の調査サイトからの調査発表会を行い、午後からは、“仲間づくり”“後継者育成”というテーマについて話し合うワークショップを実施しました。
※環境省事業「モニタリングサイト1000」の略称。日本の生態系の変化を捉え迅速な保全施策に繋げるために全国1000ヶ所で調査をする事業。NACS-Jでは、その中でも全国約200ヶ所にある里地地域の調査の事務局を担当し、市民調査員の方々と協力しながら100年間の自然環境調査を実施しています。
大分県内には、4ヵ所の調査サイトで5つもの市民団体の方がモニ1000里地調査に参加いただいています。今回の調査発表会では5つの全ての市民団体に加えて、熊本市からも1団体ご発表いただきました。5年以上調査を続けてこられたところがほとんどで、ソウシチョウやガビチョウなどの外来種の鳥の侵入状況や、哺乳類調査結果から見える都市近郊の里やまと中山間地との哺乳類相の比較、植物相調査の結果から草地の管理方法への提言など、調査結果も充実しており興味深い発表が盛りだくさんでした。
▲調査発表会の様子
午後からは、会場一体となって、市民活動の継続のために重要な“仲間づくり”や“後継者育成”に関するワークショップを行いました。
先述にあるモニ1000は今後100年間続いていくプロジェクトです。また、他の多くの自然環境の保全に関する市民活動も、持続的に地域に活動を根付かせていくためには長く続けていくことが大切になります。
このワークショップでは、前半と後半に分かれて、日頃実施している活動にどのように仲間を巻き込むかについて具体的な誘い文句となるメッセージを考えたり、また、後継者となる人材をどのように育成していくべきかグループワークで話し合いを行いました。
ここでは、“後継者育成”のテーマについてのワークショップについてお伝えします。
▲午後からのワークショップの様子
今回、具体的な未来を想像するために「15年後自分たちはどうなっているか」という設定を設けました。今の自分の年齢について15を足していただき、参加者の方にはそれぞれ「自分はまだ現役で活動している」「もう引退しているのではないか」ということを念頭においていただきました。
それぞれのチームでは、実際の活動現場での現状や課題を共有しながら、未来にどう引き継いでいったらいいかについて真剣に話し合われていました。
最後には、話し合いの結果をもとに、具体的にみんなで課題について取り組める行動計画(アクションプラン)を作成していただきました。
それぞれのチームで出来上がった案は、教育委員会と協力して学校のカリキュラムに組み込むといった案や、いまは接点のない他分野の団体を引き合わせて自分たちのフィールドで一緒に交流会をしてもらうことで今後の中核となっていくメンバーを発掘するなど、どれも興味深いものばかりでした。
ご参加いただいた参加者の方からは「日頃の活動のなかでは現状に満足していた気がしたけれど、後継者育成について改めて真剣に向き合う時間になった」といった感想をいただけました。
実際に、後継者はどう育成していくか実践に移すのは、必ず成功するという方法もなく、難しく感じることだと思います。また、もしかすると市民団体の活動にはそれぞれの集まる意味づけや目指すゴールは異なっており、後継者育成の話し合いを進める自体も困難なことかもしれません。
しかし、私たちNACS-Jは、これからも全国の自然保護を未来に向けてつなげていくためにも、自然保護の担い手が各地に溢れていくように、皆さんとともに悩みつつこれからも一緒に考えぬいていきたいと思います。そのためにも、後継者育成を考える場づくりや次世代を担う人たちの支援をこれからも進めていきます。
▲翌日に伺ったモニ1000里地コアサイト「久住草原」の晴れ渡る秋空と草原
NACS-J CAP(保全行動計画)デザインワークショッププログラム