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続続・福岡のアオイガイ大量漂着事件。一体なぜこんなことが起こった?

2013.05.16
活動報告

20130516aoigaireport.jpg▲宮本和明さんが福岡県志賀島で2013年4月16日の一日で拾った233個のアオイガイ。

icon_masuzawa.jpg  広報・編集部の増沢です。

2回にわたり事務局日誌で紹介してきた福岡のアオイガイ漂着事件。

一体なぜ今回こんな大量漂着が起こったのかやっぱり気になる!

ということで、会報『自然保護』No.528号で、連載コーナー新・生命の輪「アオイガイで読み解く海の変化」をご執筆いただいた、いしかり砂丘の資料館学芸員の志賀健司さんに伺いました。

志賀健司さんは、北海道の石狩浜で漂着物の調査を続け、アオイガイの大量漂着と海の様々な状況の関係を明らかにしてきました。

暖かい海の生きもののアオイガイが、なぜ北海道に漂着するのか?それが何を意味するのか??

解説していただいた、会報連載 シリーズ 新・生命の輪「アオイガイで読み解く海の変化」を今回は特別公開します。
ぜひご覧ください!

そして気になる、今回の福岡の大量漂着には、以下のようなコメントをいただきました。
志賀健司さんありがとうございます!

これまで北海道の石狩浜に大量漂着したといっても、もっとも多かった2012年秋でも約500個体でした。今回の福岡の1400個は、これこそ「大漁」漂着。しかも、採集している方は他にもいるでしょうから、実際の漂着数はこの何倍にもなるのではないでしょうか。

過去に福岡沿岸では、1980年代前半と1990年代前半にアオイガイ大量漂着があったことがわかっています(漂着物学会元会長、石井忠さんによる)。

中でも1982年は、石井さんは「1日に200個拾った」そうだし、島根県沖ですが定置網に6300個体かかったという記録があります(季節は違いますが)。今回2013年の北九州大量漂着も、この1982年に匹敵する規模だったのかもしれません。

この大量漂着の原因は?

北海道の場合、秋(アオイガイ漂着が始まる前後)の海面水温が高いほど漂着数も多くなる、という関係がわかりました。

ところが気象庁の観測値によると、2013年3月~4月の北九州沖の海面水温は、平年とほとんど違いがありません。

北海道まで北上したアオイガイは冷たい海でぎりぎり生きているため、水温の変化に敏感で、それに対して九州のアオイガイたちには、多少の水温変化はヘッチャラなのかもしれません。北海道とはまた違った漂着のメカニズムがあるのではないでしょうか。

(志賀健司:いしかり砂丘の資料館)

九州では、北海道とまた違うメカニズムが・・・。
海にはまだまだナゾがいっぱいあるんですね。

みなさまから寄せられる漂着情報が、今後、その謎を解き明かしていく大切なヒントになります。
海の変化を知るためにも、大切なこと。

また、海に限らず身近な自然の気になる変化に気付いたら、いつでもご連絡ください。お待ちしています!

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