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「富士山・丹沢緑の回廊」の モニタリングと評価が始まりました。

2009.03.01
活動報告

会報『自然保護』(2009年3/4月号)より転載


静岡・山梨の富士山、神奈川の丹沢山地には、面積1万4074haの「富士山・丹沢緑の回廊」が設定されています。「緑の回廊」は林野庁の国有林の制度で、野生生物の生息地の連続性を確保し、遺伝的交流を維持するためにつくられたものです。日本の森林面積は国土の7割ですが、その約3割が国有林で、この管理は水源の維持・災害との関係・野生生物の生息環境と多様性の維持といった公益に大きくかかわります。

この緑の回廊が、期待する機能をどの程度果たしているかを評価する、関東森林管理局の検討会が2008年10月から始まり、私も参加し、現況と今後のモニタリング調査の方法を論議しています。

第1回会議では、個体数が増え植生を失わせているニホンジカ、生息地の分断が進み個体数も減っているツキノワグマ、シカに生息地を追われているニホンカモシカ、繁殖成績が落ちているクマタカといった大型の野生動物が指標として注目されました。

一つの回廊の中でも、標高の上下をつなぐ富士山地区、東西をつなぐ丹沢地区といった性格の差もあります。この地域から問題を取り除き、いい自然性を維持するため、この「緑の回廊」をさらに拡充したり、保全施策を計画的に行って有効性を高める予定です。会議には、静岡県、山梨県、神奈川県や環境省も参加されていますので、各行政機関の施策の整合を働きかけます。

(横山隆一・常勤理事)

緑の回廊位置図関東森林管理局・社団法人日本森林技術協会資料より改変
丹沢:面積8339ha(うち3589haが国有林)
富士山:面積5735ha(うち2119haが国有林)

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