運用10年を迎えた環境影響評価法が 改正されます!
電話帳のような厚さの環境アセスメント資料と格闘しながら、方法書・準備書に対して意見書を出しても、事業は見直されず、「軽微な影響」「移植等の保全措置により……」といった表現でごまかされ、自然破壊が粛々と進められていく……。それでも、何も意見しないことは、認めたことになってしまう。会員の皆さんも、地域で開発計画があるとき、アセスメント制度の限界を感じることが多いのではないでしょうか。
環境省の研究会で提案
環境省では、「環境影響評価制度総合研究会」(座長 浅野直人・福岡大学教授)を2008年に設置し、NGOや行政、事業者などからヒアリングをし、改正に向けた検討が続けられています。NACS-Jは第3回(2008年10月3日)研究会にヒアリングを受け、アセス法の改善点について意見・提言を述べました。
●NACS-Jが主張した主な点
提言1 アセス法の対象事業を拡大すべき
事業の種類・規模ではなく、地域の生物多様性の特性に応じて、アセスの必要性・評価の内容を判断する「生物多様性スクリーニングマップ」のようなシステムが必要である。そのためにも、生物多様性の情報整備が不可欠。
提言2 第三者機関「アセス審査会」を設置すべき
現在のアセス法では、環境大臣が意見を述べられるのは、最終段階の評価書のみ。方法書でも意見を述べられ、科学性・客観性を持つために有識者などによる国の「アセス審査会」を設置する。
提言3 代替案の立案・比較検討を義務化すべき
事業実施前の段階の手続きのために、後戻りできず、効果がモニタリングによって証明されない代償措置で済まされることが多い。計画段階から、説明会によって情報を公開し、白紙案、回避・縮小・代償案の立案・比較検討を義務づける。
開発手続きシステムからの転換
環境アセスメントが、事業の計画段階から、市民に情報を提供し、意見を反映させる、影響が甚大な場合は、事業の回避を優先するといった「自己制御の社会システム」になるよう、NACS-Jは、改正の動きに注目し提言していきます。
(保護プロジェクト部 大野正人)