保護林に暮らす希少種の調査と データベース化が実施されます。
2008年1/2月号より転載
国有林における保護林は、国立公園と並んで、日本の奥山の自然を守る核となる自然保護制度です。現在、全国に833の保護林があり、77.8万haに保護の網がかけられています(2007年4月現在)。しかし、これまで設定した保護林を統一的な指標や基準で評価したことはなく、個々の保護林が保護区としての機能を十分に果たしているかどうかの検証が必要とされてきました。
2007年、NACS-J常勤理事の横山も委員として参画した「保護林モニタリング調査マニュアル・ワーキンググループ(林野庁設置)」での検討の結果、今後5年間をかけ、全国の保護林の現状を調査することになり、その中で、希少種の生息・生育状況調査とデータベース化が実施されることとなりました。
この調査は、各地で5年に1度、全国で順次行われる国有林の森林計画策定の前年度に行われ、森林計画にその結果を反映します。各地の国有林の具体的管理方針を決める森林計画を策定する上で、保護林がその地域の森林の核として位置づけられることになります。
NACS-Jが会員の皆さんと全国のブナの森を守る活動を進め、森林保護区の強化を訴えてから約20年。保護林はその成果のひとつです。この調査が進むことで、生物多様性保全や水源のかん養など、森林が持つ公益的機能を最重要視する国有林野行政全体の方向が推進されます。
調査では、対象地域の既存情報の収集も行われ、地域のナチュラリストへの聞き取り調査なども行われる予定ですので、皆さんもこの調査にご注目ください。
(保護プロジェクト部・茅野恒秀)
7種の保護林ごとに森林や動物の調査が経過されています。