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風力発電施設と自然環境保全に関する研究会 適切な場所に計画されるよう主張しました。

2007.09.01
要望・声明

 
会報『自然保護』2007年9/10月号より転載


主張1 設置が可能な場と可能でない場を明確にする

長野県では、希少猛禽類の生息地など、自然環境保全上、重要な地域での風力発電施設計画を避けるため、施設の建設で悪影響が想定される地域の地図を作成し、公表し始めました。これらを参考に、風力発電施設がつくられるべきではない「重要な地域」マップの日本全国版を作成して提示することが必要です。

→環境省が今年度から着手し、立地選定の際に、適切な立地を選択した複数の案を計画できるよう、事業者に重要地域マップを提示していくことが明確になりました。

主張2 計画段階で合意形成を図る 新たなガイドラインをつくる

現在推奨されている「風力発電のための環境影響評価マニュアル」(NEDO作成)は、法的な拘束力はなく、環境影響評価の手続きの過程が事業者に委ねられているために、調査内容や第三者意見の反映などが十分でない事例があります。この問題を解決するには、計画段階から複数の案をもとに、住民や関係者への情報公開や合意形成を図る新たなガイドラインが必要です。

→ほかの委員からも、同様の意見が相次いだにもかかわらず、資源エネルギー庁は、現在の方法を改めることを拒み、問題状況を改善する姿勢が見られませんでした。

主張3 国立・国定公園の導入は慎重に行う

「風力発電施設を自然公園にも建設できるように積極的に開放したい」という意見を出してきた事業者側の委員に対して、新・生物多様性国家戦略で「生物多様性の屋台骨」と位置づけられている国立・国定公園で、開発行為はより慎重に扱うべきであると反論しました。

→国立・国定公園での風力発電施設設置の基準(04年策定)が既にあるため、環境省は「国立・国定公園の積極的開放」を認めませんでした。しかし、国立・国定公園の地種区分が、必ずしも自然環境の価値に合っておらず、立地計画から除外すべき地域が適切に守られるしくみになっていない課題は残ったままです。

温暖化対策には、まず膨大なエネルギーを必要とする社会構造の見直しが欠かせません。その上で風力発電施設を導入するには、その地域の自然環境の適切な評価をもとにした立地選択と地域の合意形成を図る総合的な制度をつくらなければ、各地で温暖化対策の名のもとで起こる風力発電施設問題は、何も解決されていきません。国が、立地選択のマニュアル策定や既存のガイドラインの見直しを早急に整備していくよう、さらに働きかけていきます。

(大野正人/保護プロジェクト部)

■研究会の論点整理(環境省ホームページ)

「風力発電施設と自然環境保全に関する研究会 論点整理」について

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