屋久島の生態系と最適な保全管理の方法を知るための調査を始めます。
2006年11/12月号より転載
NACS-Jは、2006~08年度の3年間の予定で、「屋久島の世界遺産地域における生態系の動態把握と保全管理手法に関する調査」(06年環境省委託)を実施します。
例えば、ヤクシカによる林床植生への影響を知るために、シカの行動、台風などによるかく乱、斜面崩壊への影響、地表徘徊性の昆虫相の変化など、さまざまな角度から調査し、相互の関係解析を行います。
また、これまでは奥岳周辺における調査がほとんどでしたが、低地部に残された貴重な自然に関しても、その場所の過去の土地利用や現在の周辺部の土地利用、外来種の影響などを含めて明らかにする予定です。
委託調査というと報告書をまとめるだけで、一般市民に成果が広まらないケースが多かったのですが、今回は調査結果をGIS(地理情報システム)データとして蓄積し、ウェブGISを使った閲覧システムづくりを計画しています。このシステムを利用し、行政や研究者だけでなく、広く市民が情報を共有し、継続的なモニタリングを行うための体制づくりに役立てたいと考えています。
(朱宮丈晴 保護・研究部)
以前は日中の道路でヤクシカに出合うことはまれだったが、最近は日中でもよく出没する。