中池見湿地北陸新幹線問題 「モニタリング調査等フォローアップ委員会」が設立。
ラムサール条約登録湿地の中池見湿地(福井県敦賀市)を横断する北陸新幹線の建設計画は、NACS-Jや地元NGOの働きかけの成果もあり、2015年5月に環境への影響を軽減するルート計画へと変更されました。しかし変更後のルートでも湿地の集水域でもあるラムサール条約登録範囲内の山中をトンネルで貫通する計画となっており、工事による影響が懸念されています。
NACS-Jでは2016年4月に事業者に対して、ラムサール条約の決議に沿った環境配慮をするよう要望書を提出し、10月末にはラムサール条約事務局にも直接お会いして国際的な監視を強めていただくよう要請を行いました。その結果、11月20日に事業者によって、専門家からなる「北陸新幹線中池見湿地付近モニタリング調査等フォローアップ委員会」が設立、開催されました。新幹線事業で工事前に環境配慮を話し合う場ができたことは大きな一歩です。しかし、委員会は非公開で開催され、条約決議に沿った環境配慮が十分なされるのかは確認できておらず、引き続き強い働きかけが必要です。
またNACS-Jでは、これと並行してラムサール条約登録湿地として持続的な保全・活用の実現に向けた支援を続けています。11月26日には新しい自然資源の活用・循環を考える学習会を現地で開催し、「食」を通した町とのつながりなどについて地域内外の人と一緒に話し合い、中池見湿地のさまざまな資源活用の可能性が発見できました。中池見湿地が全国の保護地域の保全・活用のモデル事例となるよう今後も取り組んでいきますので、ご支援・ご協力をよろしくお願いします。
▲自然資源を活かした地域づくり学習会の様子。(上)中池見湿地を皆で視察。(下)薪を見ながらそれぞれの木の特徴を解説。