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「この実施計画書は環境影響評価法を骨抜きにする」

1998.06.01
要望・声明

*この意見書は、さまざまな問題に対してNACS-Jが通常自主的に提出している意見書とは異なり、あくまで法的手続上の「意見書」です。


意見書目次

 はじめに

1 今回の環境影響評価の意義
2 環境影響評価に係る実施計画書の全般的な問題
3 環境影響評価に係る実施計画書の問題点と提言の概要

 1.環境影響評価の仕組みにかかわる問題

1 代替案の検討と調査範囲の拡大
2 万博・住宅・道路の三事業の総合的な影響評価
3 三事業の環境影響評価を審査する第三者機関としての合同審査委員会の設置
4 社会経済・環境経済的観点からの事業評価
5 住民参加と公開性をともなったスコーピングの運用
6 一般市民にとって公正で分かりやすい準備書のあり方

 2.実施計画書の具体的内容にかかわる問題

     7 実施計画書の科学的根拠と信頼性
   8 評価と環境保全措置
   9 代償措置
  10 モニタリング調査
  11 「生物多様性の確保及び自然環境の体系的保全」の調査・予測手法
  12 「人と自然との豊かな触れ合い」の調査・予測手法
    (1)景観  (2)触れ合い活動の場
  13 ゾーニング
  14 万博の想定入場者数と自然環境への負荷

海上の森・万博問題第二次小委員会構成

委員長 金森正臣 愛知教育大学/動物生態学・環境教育学
委員(五十音順) 今井信五 日本エコミュージアム研究会/エコミュージアム研究
大野正男 東洋大学/動物地理学
小笠原昭夫 愛知県自然環境保全審議会専門委員/動物生態学(鳥類)
栗山浩一 北海道大学/環境経済学(CVM)
島津康男 名古屋大学名誉教授/システム生態学・環境影響評価
中村俊彦 千葉県立中央博物館/植物生態学・景相生態学・自然復元
八田耕吉 名古屋女子大学/動物生態学(昆虫)
波田善夫 岡山理科大学/植物生態学(湿地)・自然復元
広木詔三 名古屋大学/植物生態学(森林生態)
森山昭雄 愛知教育大学/自然地理学(地形)
鷲谷いづみ 筑波大学/保全生態学
アドバイザー委員 嘉田由紀子 滋賀県立琵琶湖博物館/環境社会学
NACS-J 村杉幸子 NACS-J事務局長
吉田正人 NACS-J事務局・保護部長
中井達郎 同   普及部長
開発法子 同   研究部長
吉田牧子 同   保護研究部
オブザーバー 世界自然保護基金日本委員会(WWF-J)
日本野鳥の会
ものみ山自然観察会

これまでの経緯(概略)

97年6月 ・BIE(国際万博委員会)での投票で、万博会場が愛知県に決定
・この前後にNACS-Jは複数の調査報告書や意見書を発表
10月 ・通産省、「2005年の国際博覧会に係る環境影響評価手法検討委員会」を設置
・万博の実施主体「(財)2005年日本国際博覧会協会」設立。3年間の事業計画、環境影響評価の実施予算12億7149万円が計上される。
98年4月17日 ・「実施計画書」発表される
5月2日 ・NACS-J、万博問題小委員会第一回委員会開催(東京)
25日 ・NACS-J、第二回委員会開催(名古屋)
6月1日 ・NACS-J、意見書提出

 

5月2日  第一回委員会開催。問題点の洗い出しが始まる

連休中日の5月2日午前10:30。小雨の中、「労働スクエア(東京・八丁堀)」に10人の委員(3人が欠席)とNACS-J事務局、日本野鳥の会や WWF-Jのオブザーバーを含めた22人が集まった。参加者は連休中にも関わらず、日本各地からこられ、これも「21世紀によりよい自然環境を残すため」 という目的と使命感からだと思う。

各委員から事前に聴取しておいた意見をもとに、万博の実施 計画書の環境影響評価手法や環境保全措置など、すべての項目における問題の洗い出し作業が始まった。アセスメントのそもそも論、海上の森の価値、21世紀 のあるべきアセスメントの姿、自然環境を残すことの意義など、さまざまなテーマに話は及んだ。

...6時間半に及ぶ熱論のすえ、17:00に会議は終了。議論しきれなかったこと、積み残した問題点を確認して解散したが、ここから重要な作業が始まる。NACS-J事務局では、さっそくこの日の議論を整理し、すべての論点を明確にあらわしていく作業に入った。

5月25日  第二回委員会開催。議論白熱!

5月25日(月)、8人の委員にNACS-J事務局、そして4人のオブザーバーを交えて、第2回の委員会が名古屋市で開かれた。

今回の委員会は、5月2日の委員会で話し合われた内容をNACS-J事務局でまとめあげ、それをもとに欠けている部分、積み残しの追加とブラッシュアップ をはかるためのもの。しかし、スタートから議論は白熱した。それは、この万博計画の実施計画書があまりにお粗末だからだ。計画書の不備の指摘、NGOとしてどうやってこの中身をかえさせるか、今回の意見書にとどまらず、今後のアセスメント手続きをきちんと監視していくことの重要性、今後の対抗手段など、さまざまな話題と議論が飛び交った。とくに生態系への配慮という視点における不備が際立っているという強い指摘があった。

この愛知万博の会場建設という事例は、日本におけるアセスメント法適用の第1号であるため、今回の意見書は、今後の開発事業に対応する際の一つのひな型になりうるよう、内容を高めていきたい。

7時間半に及ぶ会議を経て、意見書の骨子はまとまった。6月1日の提出に向けて、NACS-Jの保護研究部では最終的なまとめあげ作業が始まった。提出と 同時にあらゆるマスコミを通じてこの内容は発表されるので、皆さんもどうかご期待ください。また発表と同時に、このサイトでもアップする予定です。

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