石垣島白保地区におけるリゾートホテル建設計画の開発許可に対する抗議声明
石垣島の白保地区で計画されたリゾートホテル建設に、沖縄県は開発許可を出しました。
これに対し、日本自然保護協会とWWFジャパンは、抗議声明を発表しました。
白保地区の海域には、世界最大規模で、1980年代に日本のサンゴ礁保全の高まりの契機となったアオサンゴの大群落があり、影響が懸念されます。
平成30年4月27日
沖縄県知事 翁長雄志 様
石垣市長 中山義隆 様
石垣島白保地区におけるリゾートホテル建設計画の開発許可に対する抗議声明
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀 山 章
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
会 長 德 川 恒 孝
石垣島白保に建設が予定されている株式会社石垣島白保ホテル&リゾーツ及び株式会社日建ハウジングによるリゾートホテルについて、2018年3月28日付で沖縄県から開発許可が出されました。
当該ホテルの開発予定地の沿岸には、南北約400m、東西約200mにわたる世界最大規模のアオサンゴ群集があります。この海域は、希少種を含む多様な種が生息するサンゴ礁生態系として環境省が我が国の重要湿地に指定するなど、国際的にも重要な生態系の一つとして位置づけられています。1980年代から1990年代には、サンゴ礁への空港建設をめぐって地域住民が主体となった自然保護運動が展開され、サンゴ礁保全の重要性が広く認識されるきっかけとなった場所です。
サンゴ礁生態系の機能および生物多様性を健全に保全するためには、サンゴ礁が形成されている沿岸だけでなく、周辺の陸から海にかけての連続性や、地上から地下・海中の連続性が健全に保たれる形で一体的に保全される必要があります。今回許可が出されたリゾートホテルの建設計画は、白保のサンゴ礁生態系に悪影響を与えることが強く懸念されるものです。
サンゴ礁は最もぜい弱かつ危機せまる生態系の一つであり、2010年に決議された生物多様性条約の愛知目標でもその保全が締約国の各国に約束されています。さらに2018年は3回目の国際サンゴ礁年として、世界的に保全の機運が高まっています。
このような状況のなかで、国際的にも重要な白保のサンゴ礁生態系を有する沖縄県及び石垣市は、白保のサンゴ礁生態系を、国際的にもイニシアティブを発揮しながら責任をもって保全すべき立場にあります。2016年には気候変動とも関連する異常気象により石西礁湖のサンゴ群集が大きく影響を受けたこともあり、その責任はより大きなものとなっています。
上記の理由から、日本自然保護協会とWWFジャパンは白保地区のサンゴ礁と周辺の生態系をこれ以上損なうことなく保全することを両者に求め、今回の開発許可申請の許可を撤回することを強く求めます。
以上
▲白保の海岸