中池見湿地・北陸新幹線問題。3年事業前倒しでどうなる?
第3のルートの検討を!
国際シンポジウムを東京で開催(12/21)
現在の認可ルートは水環境に二度と元の状態に戻せない悪影響を与える恐れがあり、世界の保護地域のあり方に影響を与えかねません。また、ルート変更の背景には日本の制度上の課題があることから、NACS-Jは泥炭地の研究者である国際湿地保全連合のマーセル・シルビウス事業部長を招待し、問題普及のためのシンポジウムを開催しました。
当日は約70人が集まり、中池見湿地の価値と新幹線問題について話し合いました。マーセル氏からは「日本政府は中池見湿地を守る責務を果たしてほしい」「環境への影響を考えた第3のルートも考えるべき」「事業者がルート決定の権限をもっていることはおかしい」などの力強いご発言をいただきました。
そして保護地域に詳しい吉田正人氏(筑波大学・NACS-J専務理事)から、保護地域になった直後にルート変更になった背景として、環境アセスメント制度では事業者判断で軽微な計画変更を行うことができるが、軽微かどうかは事業者が判断できることや、国定公園である中池見湿地は県に開発権限があり、国際的な保護地域でありながら国に権限がない、などの問題点が指摘されました。
パネルディスカッションでは、ラムサール条約湿地を総合的に守る新しい法律についても議論することができました。
認可ルートは環境への影響大!
3月の専門家委員会でルートの評価結果が出される
2014年12月7日には、中池見湿地への環境影響を検討する専門家委員会が行われ、現在の認可ルートは当初の計画ルートよりも環境への影響が大きいとの評価がなされ、私たちの主張を裏づける結果が出されました。3月の委員会で結論が出される予定です。
一方、2015年1月14日に「整備新幹線に関する検討委員会」が政府と与党により開かれ、中池見湿地を通過する北陸新幹線の路線の開業を3年早めることで正式合意され、工事短縮の政治的圧力が強まっています。
NACS-Jではシンポジウムの成果を活用して国際機関とも協力しながら、3月の委員会に向けて中池見湿地に影響のないルートの選択がなされるよう強く働きかけていきます。会員の皆様もさらなる問題周知にご協力お願いします。
◆シンポジウム当日のレポートは>>こちらをご覧ください。
◆マーセル氏をお連れしてシンポジウム前に実際に中池見湿地を視察し、敦賀市役所との意見交換会や中池見湿地で環境教育にかかわる子ども達の発表会に参加。その様子は>>こちらをご覧ください。
◆日本自然保護協会の中池見湿地に関するこれまでの活動の詳細は>>こちら
長年中池見湿地を記録し続けてきた「NPO法人ウェットランド中池見」のメンバー・桑本順子様が中池見湿地を1人でも多くの人に魅力を伝えるために、中池見湿地の映像をYouTubeにアップしてくださいました。
四季折々の中池見湿地の自然を追った映像は、私達の心を癒し、中池見湿地に自分がいるかのような感覚にさせてくれます。ぜひご覧ください。
▲中池見湿地のミズトラノオの群落。ミズトラノオは湿地や溜池のほとりなどに生えるシソ科の多年草で、8~10月に淡紅紫色の可憐な花を咲かせます。各地で絶滅が心配されていますが、中池見湿地では多くの群落を見ることができます。ここでは、豊かな水環境を基礎として、ミズアオイやデンジソウ、ヘイケボタルなどたくさんの生きものが生息しています。
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