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泡瀬干潟の保全を求める要請文を提出しました

2017.07.17
要望・声明

沖縄総合事務局が本年度中に着手する航路拡大工事について、事業者から出された埋め立て変更申請を沖縄県が6月28日付けで承認したことを受けて、泡瀬干潟を守る連絡会、ラムサール・ネットワーク日本と連名で、沖縄県に次の3点について要請しました。

  1. ラムサール条約登録を、2018年に開催されるラムサール第13回締約国会議にて実現できるように、より一層尽力すること
  2. 泡瀬干潟で起こっている環境変化と、現在進められている埋め立てとの因果関係を明らかにし、埋め立て工事起因の変化について対策を講じること
  3. 変更申請の撤回も視野に入れ、泡瀬干潟の生物多様性を保全すること。

▲泡瀬干潟に住む生き物(写真:小橋川共男)


2017年7月14日

沖縄県知事     翁長 雄志 殿
沖縄県海岸防災課長 永山 正  殿
沖縄県港湾課長   照屋 寛志 殿
沖縄県自然保護課長 金城 賢  殿

泡瀬干潟を守る連絡会
共同代表 小橋川共男 漆谷克秀
ラムサール・ネットワーク日本
共同代表 安藤よしの・柏木 実・呉地正行
堀 良一・前川盛治
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章

泡瀬干潟の保全を求める要請書

沖縄総合事務局が本年度中に着手する中城港湾新港地区の西ふ頭での大型貨物船の航路を確保する浚渫工事をめぐり、浚渫した土砂を泡瀬の人工島の埋め立てに使用するために必要な条件として、沖縄県が事業者から出された埋め立て変更申請を6月28日付けで承認したことが7月3日の沖縄タイムスで報じられた。

この件に関しては、泡瀬干潟を守る連絡会が6月20日に沖縄総合事務局に「浚渫土砂を泡瀬干潟埋立に使うのではなく、他の利用方法等を考えること」を要請してきたが、その要請が聞き入れられることなく、この処分がなされたことに対して、自然保護団体として、事業実施区域および周辺海域の生物多様性豊かな自然環境の保全を守る立場から、遺憾に思う。

今回の工事は航路幅を現在の220メートルから330メートルに広げる計画であり、生物多様性保全にとって大きな損失が生じる。航路幅を拡幅する浚渫場所のすぐ近くに生息しているヒメマツミドリイシを主とするサンゴ群集に被害が生じ、また浚渫土砂の投入が予定されている場所にはクビレミドロや貝類、海草などの貴重な生物が生息している。

さらに、最新の調査では、埋め立て工事の前には見られなかった海藻類の繁茂によって、貝類やサンゴ類等の死滅を招いている可能性が示唆されている。

原因は、沖合の埋立により干潟が閉鎖海域になり、水質悪化と富栄養化をまねき、ホソエダアオノリなどの藻類が大量発生し、サンゴや貝類などの希少な生物に影響を与えたと考えられる。現状に加え、航路の拡大が生物多様性に与える影響は大きいと考える。

来年は国際サンゴ礁年であり、世界中がサンゴ礁の保全への取り組みを強化する年である。また本海域は、県議会における県知事の答弁にある通り(2015年6月25日、沖縄県議会本会議)ラムサール条約に登録されることを目指しており、県がその第一歩として県の鳥獣保護区設置の作業を進めているところである。

このまま環境の劣化が進むとラムサール条約登録に必要な基準を満たせなくなる恐れが高い。

沖縄県におかれましては、生物多様性の宝庫であり、沖縄の財産であり、世界の宝である泡瀬干潟を守っていただきたい。

以下を要請する

  1. 泡瀬干潟のラムサール条約登録を、2018年に開催されるラムサール第13回締約国会議にて実現できるように、より一層尽力すること。
  2. 泡瀬干潟で起こっているホソエダアオノリなどの大量発生やサンゴ類の死滅などの環境変化と、現在進められている埋め立てとの因果関係を明らかにし、埋め立て工事起因の変化について対策を講じること。
  3. 公有水面の埋め立てに伴う変更申請の撤回も視野に入れ、泡瀬干潟の生物多様性を保全すること。

 

以上

▲遠浅の砂浜が広がる貴重な環境です(写真:小橋川共男)

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