渓流環境修復のためのモニタリングにアイデアをお寄せください。
会報『自然保護』No.504(2008年7/8月号)より転載
『自然保護』2008年3・4月号特集でご紹介したように、AKAYAプロジェクトでは、自然が持つ本来の営みを遮断されてきた渓流環境の生物多様性復元のために、全国で初めて治山ダムの撤去を行います。しかし、治山ダム撤去にともない、渓流の生物多様性がどのように変化するかについては、日本で前例のない取り組みであるため、モニタリング手法の開発と体系化が課題となっています。
この課題に対して、AKAYAプロジェクトは土砂移動、水流・水質の変化、イワナなど魚類の移動状況、植生などの調査を行ってきました。今年度はこれらに加えて、カワネズミの生息状況、水生昆虫相、渓畔林を構成する樹種の実生の定着場所を調査します。日本のように傾斜が急な渓流域のダム撤去の例は世界でも少なく、国際的に見ても価値があります。この事業は、誰も経験したことのない未知の現象を調べる興奮に満ちたもので、NACS-Jも手さぐりで調査を進めています。会員の皆さんで、渓流環境の特性やその生態系の変化を探るための調査テーマ・調査対象についてアイデアをお持ちの方、ご協力くださいませんか。AKAYA担当までご連絡をお待ちしています。
(藤田 卓/保護プロジェクト部)