普天間飛行場代替施設建設事業に伴う辺野古違法確認訴訟への最高裁判所の判決を受けての日本政府への抗議声明を本日付で発送しました。
抗議声明本文(PDF/196KB)
2016年12月20日
内閣総理大臣 安倍 晋三様
内閣官房長官 菅 義偉様
国土交通大臣 石井 啓一様
防衛大臣 稲田 朋美様
環境大臣 山本 公一様
沖縄・北方担当大臣 鶴保 庸介様
沖縄防衛局長 中嶋 浩一郎様
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
普天間飛行場代替施設建設事業に伴う辺野古違法確認訴訟への最高裁判所の判決を受けての日本政府への抗議声明
12月20日、普天間飛行場代替施設建設事業を巡り、石井啓一国土交通相が沖縄県の翁長雄志県知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」の上告審で、最高裁判所は沖縄県側の上告受理申し立てを棄却する判決を言い渡した。
日本政府は、米軍普天間飛行場代替施設建設事業に関して、沖縄県に対し、これまで地方自治法に基づく国の是正指示や代執行訴訟などを行ってきたが、今年3月に代執行訴訟の和解案受け入れに伴い、全ての裁判を取り下げ、同時に同事業の工事に伴う全ての作業を停止してきた。
しかし、日本政府は裁判所から沖縄県との和解協議を求められているにも関わらず、この7月に辺野古違法確認訴訟を沖縄県相手に起こし、9月に福岡高裁那覇支部より沖縄県側の敗訴の結果が出て、それを受けて沖縄県が上告し、今回の結果に至った。
日本自然保護協会は、事業予定地の生物多様性豊かな自然環境の保全と安全で安心な暮らしを守る立場から、今回の判決を受けてあらためてこの件に関する日本政府の一連の対応に対して強く抗議する。
今年9月上旬に開催されたIUCN(国際自然保護連合)世界自然保護会議および今月メキシコで開催された生物多様性条約第13回締約国会議では、ここ数年にわたり高水温の影響を受けて大きなダメージを受けているサンゴ礁の保全に関する課題が大きく取り上げられ、サンゴ礁のさらなる保全や気候変動の時代に即した保全、海洋保護区の拡大など海の保全に関する複数の勧告が採択され、生物多様性保全の大切さがより一層確認された。普天間飛行場代替施設建設事業予定地を含む沖縄島周辺のサンゴ礁も例外ではない。
日米政府は、国際社会の一員として、これまで4回にわたり出されてきたIUCN世界自然保護会議で決議された勧告を真摯に受け止め、沖縄の大切な財産であるサンゴ礁を守り、民意や地方自治の大切さを考慮し、辺野古・大浦湾の埋め立てを中止するべきである。
この事業について工事を再開することは決して許されることではない。
以上