第6回IUCN世界自然保護会議で 「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」勧告が採択される
アメリカのハワイで、9月1~10日にかけて開催される第6回IUCN世界自然保護会議に先立ち、日本の環境NGO・6団体が提案した「島嶼生態系への外来種の侵入経路管理の強化」勧告(https://www.nacsj.or.jp/archive/2016/08/624/)が、賛成多数で採択された。
提案を行ったのは、日本自然保護協会、WWFジャパン、日本野鳥の会、ラムサール・ネットワーク日本、野生生物保全論研究会(JWCS)、SDCC(ジュゴン保護キャンペーンセンター)の6団体である。
勧告案の採決は、今年5月より7月までに実施されたオンライン議論を経て、今月2日から17日までの期間に電子投票により行われた。投票の結果は、政府側の賛成80票、反対2票、棄権74票、NGO側の賛成459票、反対24票、棄権204票であった。
賛成 | 反対 | 棄権 | |
政府 | 80 | 2 | 74 |
NGO | 459 | 24 | 204 |
今回、このような勧告が採択されたことは、日本の島嶼生態系を外来種から守ることにとって大きな意味がある。勧告に記されているよう、大量の資材を生物地理区分を超えて運ぶことは、外来種侵入の大きなリスクを伴い、クリアするには多くの要求を満たさなければならない。
日本政府は、勧告に従って、直ちに辺野古の埋め立てに伴い予定されている大量の土砂の導入を見直すか、勧告に書かれている全てのことを実行すべきである。第一に現在の外来種被害防止行動計画に記されていることの実行と同計画の改定、さらに、中長期的には、日本の外来生物法や日本の環境アセスメント法を国際的な基準に照らして環境保全ができるものに作りかえていくことが求められる。
世界自然保護会議は侵略的外来種の問題を世界で2番目に大きな生物多様性への脅威ととらえ、この問題について異なる側面から取り上げる14個のサイドイベント「Invasive alien species pathway(侵略的外来種の通り道)」が開かれる。
今回の開催地であるハワイは侵略的外来種の問題について長く取り組んできた地域であり、このイベントの開催地として最適であると言える。この一連のイベントの1つであるワークショップ「Island biosecurity for a resilient planet」は、日本自然保護協会とアイランド・コンサベーションの共催で9月4日に行うサイドイベントで、生物多様性条約(CBD)事務局や太平洋地域環境計画事務所(SPREP)など多様な顔ぶれが集う。
外来種駆除の取り組みや、辺野古の埋め立てのように遠方から資材を運搬することに伴い侵入する外来種のリスクの問題、外来種を駆除したのちにどのように島を回復させるか、などについて議論される。今回の電子投票で採択された90の決議のうち、外来種を取り上げたものは2つである。IUCN世界自然保護会議においても、今後の各国の生物多様性保全策として、外来種問題への対応が大きな話題になることは間違いない。
日米政府は、世界自然保護会議で決議された勧告が、国際条約と同等の重みをもっていることから、誠意と責任を持って勧告に従って、直ちに辺野古の埋め立てに伴い予定されている大量の土砂の導入を見直し、島嶼の自然を外来種から守るための行動を履行すべきである。
IUCN世界自然保護会議(WCC)Hawaii2016ワークショップ
「Island biosecurity for a resilient planet」(レジリエントな地球のための島の回復とバイオセキュリティ)」 #WCC_10231