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農林水産大臣の沖縄県に対する効力停止発表への緊急声明を出しました。

2015.03.31
要望・声明

普天間飛行場代替施設建設事業に関する農林水産大臣の沖縄県に対する効力停止発表への緊急声明(PDF/158KB)


2015年3月31日

普天間飛行場代替施設建設事業に関する
農林水産大臣の沖縄県に対する効力停止発表への緊急声明

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長  亀山 章

2015年3月30日に、農林水産大臣から沖縄県に対して、辺野古での沖縄防衛局に対する作業停止指示の効力の一時的停止という決定がなされた。

本件は、辺野古・大浦湾におけるコンクリートブロック設置による環境破壊を懸念した沖縄県が、沖縄防衛局に情報を求める等の措置を実施してきたにもかかわらず、沖縄防衛局から情報提供がなされなかったことを受け、3月23日に翁長雄志沖縄県知事が沖縄防衛局に、辺野古沖での作業を7日間以内に中止するよう指示したことに関するものである。沖縄県は、指示に従わない場合は岩礁破砕許可を取り消すと、沖縄県漁業調整規則に基づいて発表した。

これに対して、24日に沖縄防衛局は、沖縄県漁業調整規則の根拠法である水産資源保護法を所管する農林水産大臣に執行停止申立書を提出し、その3日後に、沖縄県は農林水産大臣に意見書を提出している。

日本列島は縦に長く、北の海には流氷があり、南の海にはサンゴ礁が分布するほど海の自然環境は多様である。そのため、水産資源保護法には、制限や禁止事項は各都道府県により事情が異なり、一律に規定することは困難であることが明記されている。25日の国会の答弁においても、沖縄県漁業調整規則の法令解釈権は沖縄県にあることが確認されている(衆議院安全保障委員会、赤嶺政賢氏の質問に対する政府答弁)。

また、沖縄県は「岩礁破砕等の許可に関する取扱い方針」において、サンゴ礁の保護を重視する立場から、岩礁破砕について「細心の注意を払う必要がある」と定めている。

一方、沖縄防衛局の申立書には、他の事例と公平な扱いがなされていないことがあげられているが、サンゴ礁域での他の事例である那覇空港滑走路増設事業で用いられているコンクリートブロックは3トン以下で、辺野古の埋め立て事業で用いられたコンクリートブロックは10~45トンと、はるかに大きく環境に与える影響は同列には論じられない。

農林水産大臣は沖縄県に対して効力停止を発表したが、沖縄県の岩礁破砕許可の取り消しは、上記の理由から認められるべきものであるとともに、本来、農林水産大臣は、沖縄防衛局にコンクリートブロックによって損傷したサンゴの現状回復を命ずるべきであると考える。

また、農林水産省の決定書によると、今回の措置の理由の一部として、作業停止により日米両国間の信頼関係上悪影響が生じることが記されている。しかし、農林水産大臣に求められているのは、地域の水産業の視点から、本件の法に照らした合理的で客観的な判断である。

本事業は、地域に認められた自治を軽視し、地元住民との合意形成が出来ていないまま強行されようとしており、今回の一連の出来事には、日本自然保護協会はじめ、全国の多くの人々が注視している。

日本政府には、サンゴ礁生態系の保全は国際的に重要な課題であることを重く受け止め、国際社会における生物多様性保全の責務を果たすために、沖縄県の、また日本の財産でもあるサンゴ礁の価値を改めて十分に理解し、大切に扱っていただくことを強く願う。

 

以上

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