サンゴの状態が良好な辺野古の海で強行な埋め立て作業が始まってしまっています。
保護・研究部の安部です。
辺野古の埋め立て事業(普天間飛行場代替施設建設事業)は、1990年代から計画が浮上しては消えてきました。2006年より滑走路2本を持つ現在のV字型の米軍基地建設計画となり、環境影響評価が実施され、2013年12月に仲井真弘多元沖縄県知事により公有水面埋立申請が承認されました。
昨年11月の沖縄県知事選挙にて埋め立てに反対の立場の翁長雄志氏が当選し、埋め立て承認の取り消しまたは撤回を視野に入れる政策を取っています。翁長知事は2月より、6名の有識者からなる検証委員会を組織し、承認に法的な瑕疵がなかったかを検証しています。
NACS-Jは辺野古沖のサンゴ礁調査を1月22日に行いました。サンゴ礁の状態は昨年3月に行った前回の調査よりサンゴの被度が少し高い良好な状態が記録され、また水質調査用のサンプルを見ると水質はとてもきれいでした。
しかし、561haにもわたる臨時制限区域がオレンジ色のオイルフェンスで取り囲まれていました。さらにオイルフェンスの基部を固定するコンクリートブロックの投入も行われています。事業者は次に「仮設桟橋」という名前の大型の突堤の造成を始める予定です。この仮設桟橋は長さ約300m、幅17~25m、という大きなもので、実質的な埋め立ての開始と言わざるを得ません。
ジュゴンはまだ埋め立て予定地より8㎞ほど離れた地点を餌場として利用しているようで、1月17日に泳いでいる姿が記録されました。このままではジュゴンやサンゴ、海草藻場などに取り返しのつかない影響を与えてしまいます。
NACS-Jは、多くの方の想いが詰まったこの海を守るために引き続き努力していきます。
▲オイルフェンスで区切られている辺野古の海。基地キャンプシュワブ前には作業船が入っている。
▲海に沈められたコンクリートブロック。カヌーや人と比べるとその大きさがわかる(写真:金井創(ダイビングチームレインボー))
(安部真理子/保護・研究部)