沖縄・普天間基地移設問題で、環境監視等委員会の公開を求める要望書を出しました。
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」の公開の要望書(PDF/143KB)
2014年4月23日
沖縄防衛局長
武田 博史 殿
公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山 章
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
吉川 秀樹
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会」の公開の要望書
辺野古の埋め立てに伴う環境保全策を検討する普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境監視等委員会(以下、環境監視等委員会)が沖縄防衛局により設置され、2014年4月11日に初会合が開催された。この委員会は仲井真弘多沖縄県知事による埋立承認の際に「留意事項」として政府に求めたことを受けて設置されたものであるが、私たちは委員会の正当性とその運営に、以下のような大きな疑念をもっている。
第一は、環境監視等委員会の前提となる仲井真知事の埋立て承認は、「環境保全」を要求する公有水面埋立法の4条1-2項を無視した承認であり、同委員会の正当性が問われる。仲井真知事は2012年2月に、環境影響評価書に対する知事意見として「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」とした。その後、評価書は補正されたが、本計画が有する根本的な問題は何も解決されなかった。それに続く公有水面埋立手続きにおいても、問題は解決されるどころか、埋立土砂の調達予定地に外来種の混入が発見されるなど、新たに深刻な問題が次々と発覚し、これらの事項も解決をみていない。
第二は、2012年3月27日に出された普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書に対する沖縄県知事意見の中には、「各委員会の開催に当たっては、積極的に公開するなど広く地域住民、県民に対し周知に努めながら運営する必要がある。」と記されているが、現在の環境監視等委員会の設置過程や運営状況はそれと相反するものである。環境影響評価書の補正過程において設置された「有識者研究会」も、公開がなされず、また市民による多様な視点からの関わりがないまま行われ、結局は、補正において本計画が有する根本的な問題を解決する役割は果せなかった。沖縄県が述べている埋立承認に伴う留意事項には、市民の検証の過程が必要であり、環境監視等委員会に市民が関ることができる仕組みをこれから取り入れることが必要である。
以上の理由から沖縄防衛局に下記のことを要望する。
記
- 環境監視等委員会の目的と裁量範囲を明確にすること
- 同委員会への市民の傍聴を認め、市民が関われる仕組みを設けること
- 同委員会の議事録を公開すること
- 同委員会委員の氏名、所属および専門分野を公開すること
- 同委員会委員の選考過程とその理由を明らかにすること
- 同委員会委員に環境保全のどの部分に対して助言を求めるのか、明らかにすること
▲埋め立てが予定されている辺野古の海© 村山嘉昭 2013/7/2