2013年11月12日に長崎地裁が出した国に開門差し止めを命じる仮処分は不当判断
長崎地裁が出した国に開門差し止めを命じる仮処分は不当判断
国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査に対し、11月12日に長崎地裁は、国に開門差し止めを命じる仮処分を出した。
一方で、国は、開門を命じた福岡高裁による確定判決の義務も負っている。
異なる判断となったのは、開門による被害防止が不十分というものであるが、漁業被害はすでに起きており、農業への被害対策の不備は内容ではなく対応の遅れが指摘されたもので、不当な判断である。
この決定によって漁場の回復と農業・防災がそれぞれ抱える問題が解決されたわけではなく、地元住民が直面する問題解決を先延ばししただけといえる。
日本自然保護協会は、水門の常時開門による自然再生および漁場の回復と干拓地農業および防災は、決して対立するものではないと考えている。福岡高裁の確定判決の真摯な履行と、地域住民、利害関係者、専門家、行政機関などによる協議の場を設け、英知を集結して問題解決の途を探ることを求める。
日本自然保護協会
保護・研究部部長 志村智子