普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する要望書を出しました。
普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する要望書(PDF/173KB)
2013年8月12日
沖縄県知事 仲井真弘多 殿
普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きに関する要望書
公益財団法人 日本自然保護協会
沖縄・生物多様性市民ネットワーク
ヘリ基地いらない二見以北十区の会
NPO法人ラムサール・ネットワーク日本
ジュゴン保護キャンペーンセンター
北限のジュゴン調査チーム・ザン
沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団
ヘリ基地反対協議会
沖縄環境ネットワーク
沖縄から基地をなくし世界の平和を求める市民連絡会
普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認手続きが進んでいます。これに対して長い間、埋立予定地の生物多様性豊かな自然環境の保全や安全で安心な暮らしを守る住民運動に取り組んでいる立場から以下の事項を要望します。
1.「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認申請書」の利害関係人とその意見書についての取扱いの範囲を拡大すること
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認申請書」に関して利害関係人から沖縄県に提出された意見書についての取り扱い方法が報道されるようになりました。沖縄県からはまだ整理中であると伝えられていますが(沖縄タイムス 2013年8月10日)、一方で、名護市民ではない人から提出された意見や県外に所在地がある自然保護団体を利害関係人として認めず、対象外として扱うという趣旨の記事も出ています。(沖縄タイムス 2013年7月27日)。また「辺野古に住んでいてオスプレイが飛ばれたら困るというのは利害関係人だ」という當銘健一郎沖縄県土木建築部長の利害関係人の居住地を限定している判断基準も記憶に新しいところです(2013年7月19日琉球新報)
しかし、公有水面埋立法の第3条を解説した「公有水面埋立実務ハンドブック」には、利害関係人とは「自らが利害関係人と思う人であり、特に限定的な解釈はなされていない」と記されています。
沖縄県が、意見募集の時には利害関係人の範囲を限定していなかったにもかかわらず、提出後にその範囲を限定することは、提出者に対する背信であると考えられます。範囲を限定するのであれば、どのような理由と経緯で変わったのか、納得のいく説明が必要です。
研究者や自然保護団体の調査で明らかになっているように、埋め立て予定地は自然度の非常に高い場所であり、そこを埋め立てることは、沖縄の、そして日本の重要な生物多様性の「ホット・スポット」の消失になります。また自然はつながっていることから、埋め立ての影響は人為的に引かれた行政区分の外にも及ぶのは明らかであり、利害関係人の対象を名護市民に限定することは、適切ではありません。そして、利害関係人の意見のなかに、観光で将来訪れたいという意見が多かったことからも見られるように、この場所は、将来的にも価値を有するものであり、子孫に残すべき財産でもあります。
さらには、埋立て後に建設が予定されている飛行場にはオスプレイ配備が予定されていますが、オスプレイ配備に対しては沖縄県知事・県議会をはじめ、全41市町村の首長と議会が反対しており、その観点からも、利害関係は全県に及びます。
以上の理由から、私たちは、幅広い対象が利害関係者として扱われるべきであり、また沖縄県知事の最終判断に至る前に、意見書の整理状況や判断の過程を公表することを要望します。
2.埋立申請の審査手続きとその過程の透明性を確保すること
「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価」で防衛省が出した『評価書』に対し、沖縄県知事は「評価書で示された環境保全措置等では、事業実施区域周辺域の生活環境及び自然環境の保全を図ることは、不可能」との厳しい意見を出しました。そして、制度上では定められていませんが、沖縄県や県の環境影響審査会は、住民意見の表明の場を作り、また住民からの意見の収集し、それを知事意見へ反映させてきました。これまで県外の市民や専門家、自然保護団体、市民団体の声も県内の住民の声と同様に聞いていただきました。
沖縄県は、環境影響評価の手続き期間中は、比較的透明性の高い、住民参加を許容する姿勢を取ってきました。しかしながら、公有水面埋立手続きに入ってからは、申請書の一部の情報の告示・縦覧期間が短いまま手続きを終了する、明日実施する現地調査の内容も明かさない、など姿勢が不透明になっています。
今後の審査手続きでは、透明性の確保や市民参加を重視し、利害関係人の意見が、沖縄県知事の最終判断に十分に反映されることを強く要望します。