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公有水面埋立承認申請書には生物多様性の保全上、大きな問題点があるため意見を出しました。

2013.06.28
要望・声明

普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認申請書の形式審査終了について(PDF/155KB)

※沖縄県知事への意見の送り方はこちら(7月18日まで)


2013年6月28日

沖縄県知事  仲井真弘多 殿
沖縄防衛局長 武田 博史 殿

普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認申請書の形式審査終了について

公益財団法人 日本自然保護協会
理事長 亀山章

 

本日、沖縄県から、普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認申請手続きのうち、形式審査が終了し、告示・縦覧及び利害関係人からの意見聴取が開始された。
日本自然保護協会は、以下に述べる理由から、公有水面埋立承認申請書には自然保護上の大きな問題点があると考え、この手続きを進めることに強く抗議する。

 

1.プロセスの透明性が確保されていない

今年3月から始まった本事業の公有水面埋立承認申請に係る手続きには、市民に公開されない不透明な部分が多い。また、今年4月に沖縄県知事が沖縄防衛局に送付した「普天間飛行場代替施設建設事業に係わる公有水面埋立承認申請書の補正について」の指摘が公開されたが、これに対して沖縄防衛局が行った修正内容が明確にされないまま、告示・縦覧が開始された。

さらに、沖縄県が、沖縄防衛局の補正をもって形式審査を終えたと判断した根拠についても、市民に明確な説明が行われていない。当協会をはじめとする市民から疑問点があげられたが、沖縄県はそれらに十分には回答していない。本事業は、生物多様性の豊かなサンゴ礁生態系に深刻な影響を与えるものであり、全国の多くの人々が注視している。十分に説明を行い、市民への透明性を確保するべきである。

2.埋め立て土砂の総量が不足している

環境影響評価書には、辺野古沿岸の公有水面約160ヘクタールの埋め立てに必要な土砂約2100万立方メートルのうち、約1700万立方メートルは購入すると書かれている。報道によると、公有水面埋立承認申請書には、購入する土砂の調達予定地は明記されているが、各場所の調達量は明記されていないとのことである。

6月12日の衆議院外務委員会での、笠井亮議員による購入する埋め立て土砂が調達できない可能性についての質問に対して、防衛省は「ダム堆積土、建設残土、リサイクル材など、供給しきれなくなった場合に検討していきたい」と回答した。これは、埋め立て土砂が不足する可能性を追認したといえる。

さらには、少なくとも200万立方メートルの土砂を辺野古ダム周辺地域から採取する予定との事業者の意向に対し、名護市は同意しない旨を改めて示している(2013年6月25日 沖縄タイムス)。どのように調達するのか、事前に明確にされていなければ審査に必要な形式が整ったとはいえない。

3.県外から大量の土砂を持ち込むことは生物多様性保全上大きな問題である

沖縄県にとってこのような大量の土砂を県外から持ち込むことは前例がない。県外から持ち込む土砂について現在のところ有害物質の有無の調査は行われておらず(2013年 6月6日 琉球新報)、また外来種が混入しないためのチェックの体制が明確ではない。

沖縄の自然は脆弱な島嶼生態系であり、他地域から移入される生物や物質に対しては、他の地域よりもずっと強い規制が必要である。沖縄の貴重な自然の価値が認められ、世界自然遺産登録を目指しているなかで、慎重な対応が求められている。

以上


※辺野古サンゴ礁の埋め立て計画への意見書は、今回が、公式な手続きのなかで意見を届ける最後の機会です。ぜひ、この機会を逃さず、みなさんも意見をお届けください。

※沖縄県知事への意見の送り方はこちら
https://www.nacsj.or.jp/katsudo/henoko/2013/04/post-62.html

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