政府見解の「日本の海洋保護区は8.3%」は見直し、 生物多様性保全を目的とする 海洋保護区制度を再構築すべきである。
公益財団法人 日本自然保護協会(理事長 田畑貞寿、会員2万4千人)は、2012年5月17日に、『日本自然保護協会(NACS-J)・沿岸保全管理検討会提言 日本の海洋保護区のあり方~生物多様性保全をすすめるために~』を発表します。
政府の主張する海洋保護区(MPA:Marine Protected Area)で大きな割合を占める海域は、水産対象種しか考慮していません。そこで、日本自然保護協会は、
- MPA8.3%という政府見解を見直し、制度を再構築するべき。
- 海洋保護区を見直す際には、3つの条件を満たすものにするべき。
という2点を提言します。生物多様性を保全し、同時に持続的な利用を進めるために、これらの提言が活かされ、効果的なMPAの設定が進むことを強く希望しています。
日然保護協会(NACS-J)・沿岸保全管理検討会提言
日本の海洋保護区のあり方~生物多様性保全をすすめるために~(PDF/2MB)
提言発表についての記者会見
(背景)日本政府は、2011年に海洋政策本部発表として「日本の海域の8.3%がMPAである」と発表しました。これは、日本が議長国であった生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10/2010年)で採択された「愛知目標」(戦略計画2011-2020)の目標11「生物多様性と生態系サービスのために特に重要な区域を含む沿岸及び海域の少なくとも10%を、保護地域システムやその他の効果的管理による保全すること」に対するものです。
しかし政府の主張するMPAが、真に生物多様性保全や自然生態系の保全、持続可能な利用の実現のために機能し得るかという視点からは、多くの問題点が浮上しました。そこで、日本自然保護協会は「沿岸保全管理検討会」を設置し、これらの問題点を検討してきました。
本件に関するお問い合わせ先
日本自然保護協会 保護プロジェクト部
担当:安部真理子、志村智子
Tel :03-3553-4103
※本提言内容は2012年5月19日のフォーラム「日本の海の今を考える ~新たな生物多様性国家戦略に向けて~」にて、各省庁の政策に対し、新たな生物多様性国家戦略での解決策として提言します。