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上関原子力発電所の強引な工事に抗議し、建設中止を求める緊急声明を出しました。

2011.02.25
要望・声明

上関原子力発電所の建設中止を求めるNACS-Jの緊急声明(PDF/78.5KB)


2011年2月25日

上関原子力発電所の強引な工事に抗議し、建設中止を求める緊急声明

(財)日本自然保護協会

日本自然保護協会は、瀬戸内海の生物多様性のホットスポットに深刻な影響を与える山口県熊毛郡上関町田ノ浦の上関原子力発電所の建設計画の中止を求めるとともに、祝島住民からの強い反対の声を無視し工事を強行する中国電力に強く抗議する。

また、原子炉本体の着工許可の審査中にも関わらず、埋立工事の強行を黙認する政府・経済産業省の姿勢も理解できるものではない。

建設予定地の上関町田ノ浦は、周防灘と豊後水道の交点に位置し、瀬戸内海の入り口にあたる。この地はかねてより日本生態学会、日本鳥学会、日本ベントス学会が、希少種・絶滅危惧種の多さから、瀬戸内海の生物多様性のホットスポット、「奇跡の海」と評価している。

さらにこの場所に原子力発電所が建設されると、温排水や冷却水中に投入される生物付着を阻止するための薬品の常用により、瀬戸内海の生物多様性に不可逆的な影響を与えると指摘している。

しかし、中国電力が行ってきた環境影響評価ならびにその後の追加調査は、環境影響評価の基本となる動植物リストの欠落など不備が多く、科学的検討が十分になされていない。「温排水や海域埋め立てが各種生物に及ぼす影響は小さい」と著しく科学的根拠を欠いたまま性急に結論づけられている。

諫早湾の堤防閉め切りの例を出すまでもなく、不十分な環境影響評価により、強行した埋め立て工事がもたらす、環境破壊と経済的な被害、復元のための甚大な負荷は、企業にとっても国にとっても大きな損失を伴うことは明らかである。

中国電力は、これまでの専門家や住民、NPO・NGOからの意見を真摯に受け止め、科学的な環境影響評価と情報公開のもと、影響を回避する方策を検討すべきである。

2010年10月に開催された生物多様性条約第10回締約国会議では、海洋沿岸について「海洋・沿岸の生態系損失と破壊を進める要因を特定し、沿岸で海の地域の持続可能な管理を改善すること」と決議された。

愛知ターゲットでは「生物多様性とその慣習的な持続可能な利用に関し、先住民と地域社会の伝統的知識、工夫、慣行が、国内法と関連する国際的義務に従って尊重されること」が国際的に求められている。

田ノ浦近海は、地域住民が伝統的な沿岸漁法により生計を建ててきた。その持続的な漁から、瀬戸内海屈指の生物多様性の豊かさが証明されている。祝島の地域住民の合意をえぬまま、瀬戸内海の生物多様性に取り返しのつかない悪影響を及ぼすことは、日本が議長国を務めた国際的合意に反することであり、環境時代における企業倫理としても社会的に認められるものではない。

以上

 


<関連サイト>
■中国電力(株)上関原子力発電所のページ
http://www.energia.co.jp/atom_info/kaminoseki/

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