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米軍普天間基地の移設先 サンゴ礁はこれ以上破壊すべきではない。

2010.07.01
活動報告

会報『自然保護』No.516(2010年7・8月号)より転載


昨年夏の政権交代以来、米軍普天間基地の移設先に関しさまざまな場所、工法が修正案としてあげられました。しかしながら前政権時代に日米で合意された(2006年)キャンプシュワブ沿岸案(V字型、現行案)を始め、どの案も問題を多く含んでいます。NACS-Jではこの問題に対し新しい修正案が出るたびに、調査結果や現地の人脈を通じての情報、既存の資料を元にその都度コメントを出してきました。

どの案でも豊かなサンゴの海が消えてしまう!

3月中旬に出された沖縄本島中部の勝連半島沖に計画された「ホワイトビーチ案」。規模が1021ha(東京ドーム約205個分)と巨大な基地の建設は、勝連半島沖の大規模なサンゴ礁生態系(石西礁湖や慶良間諸島に匹敵するほどの面積)に直接的な影響を及ぼし、ひいては中城湾・金武湾と2つの大きな湾へも間接的な影響を及ぼす可能性が高いと思われます。

「杭打ち桟橋浅瀬案」を含む辺野古・大浦湾海域での案はいずれも大きな問題を抱えています。この海域が絶滅のおそれの極めて高い種に指定されているジュゴンの重要な生息地であることはNACS-Jの調査で分かってきています。

また最近になり大規模なアオサンゴ群集が新たに発見されるなど、生物多様性豊かな海域です。杭打ち方式を適用しても光の遮断・減少によって光合成が阻害されて海草藻場が消失し、林立する支柱により海流が変わり環境がかく乱されます。

政府からこの案が出されてすぐ、NACS-Jは杭打ち方式に対してもコメントを出しました。メディアでも多く取り上げられ、閣僚や国会議員の発言にも意識されていました。

5月の時点ではまた埋め立て方式が有力のようです。埋め立て地周辺の環境が激変するだけでなく、埋め立て資材に何を用いるか、資材の調達先の環境に与える影響など懸念材料はたくさんあります。どの工法であれ、この生物多様性豊かな海域に基地をつくること自体が大きな問題、つまり鳩山前首相の言う「自然への冒涜」に相当します。

このような考えから日米共同声明を受けて、NACS-Jでは緊急声明を出しました。

 

(安部真理子/保護プロジェクト部)

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