オバマ大統領・鳩山総理首脳会談にむけ普天間飛行場移設事業の白紙撤回の合意を求める声明発表
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オバマ大統領・鳩山総理の首脳会談に際し辺野古への普天間飛行場移設問題に関する声明(メッセージ)(PDF/121KB)
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2009(平成21)年11月12日
アメリカ合衆国大統領 バラク オバマ 殿
日本 内閣総理大臣 鳩山 由紀夫 殿
(財)日本自然保護協会
理事長 田畑 貞寿
オバマ大統領・鳩山総理の首脳会談に際し辺野古への普天間飛行場移設問題に関する声明(メッセージ)
日本自然保護協会(NACS-J)は、1951年の設立以来、科学性をもって自然保護活動を行っているNGOである。科学的な現地調査をもと、日本政府に対して米軍普天間飛行場代替施設建設事業の見直しを強く要請し、国際自然保護連合(IUCN)による三度にわたる保全勧告、米国地方裁判所におけるジュゴン訴訟などと連動してきた。
NACS-JをはじめとするNGOなどによって、沖縄のジュゴン個体群は、今、沖縄島近海を積極的に保全しなければ絶滅を免れない状況にあること、また、2007年に発見された大規模なアオサンゴ群集に象徴される辺野古・大浦湾の生物多様性の豊かさは、自然破壊の進む沖縄のサンゴ礁で代え難い普遍的価値を持っていることを明らかにしてきた。
このような科学的主張を受け入れずに、「基地建設による影響は総じて少ない」とした環境影響評価は、合意形成にほど遠く事業実施が前提の日本政府の姿勢を露呈してきただけである。
環境保全上の大きな問題をはらんだこの移設事業は、各新聞社の世論調査や選挙結果からもすでに社会的な支持を得ないものになっており、2010年生物多様性条約10回締約国会議(CBD/COP10)議長国日本として、国際社会の理解を得ることもより難しいだろう。また1996年SACO日米合意から世界情勢は変わり、一方、世界的な環境保全の取り組みは加速している。
このような認識のもと、新たな日米首脳が、以下の政策転換を合意し、きたる「2010年国際生物多様性年」に向け積極的な姿勢を示すことを、心から期待している。
1)辺野古・大浦湾地域への普天間飛行場移設事業を白紙撤回する。
- 辺野古・大浦湾地域への米軍普天間飛行場移設事業を白紙撤回すること。
- 沖縄島の生物多様性の保全のためにも米軍施設の過重負担を減らすことが重要である。
普天間飛行場などの軍事機能の再編について、柔軟に検討し直すこと。 - 米軍施設の跡地利用についても、積極的に環境保全・復元に寄与すること。
2)米国は生物多様性条約を批准し、日本とともに地球環境保全に貢献する。
- 米国は生物多様性条約を批准し、CBD/COP10を機に積極的な貢献を果たすこと。
- 日米両政府は、CBDの新たな枠組み「ポスト2010年目標」が気候変動枠組み条約と同等に国連のもと行動されるよう、イニチアチブを示し世界各国の牽引役を担うこと。
以上