環境影響評価のプロセスを形骸化するものにほかならない。普天間飛行場アセス・県知事意見に対しコメントを発表。
2007年12月21日
『普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書』の撤回を求めるコメント
(財)日本自然保護協会
保護プロジェクト部 部長代行 大野 正人
本日、12月21日、『普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書』に対する、沖縄県知事意見が出された。
本方法書に対し、(財)日本自然保護協会(理事長・田畑貞寿)は、意見書を提出し(2007年9月20日)、『事業による影響要因の欠落、不明瞭な影響予測にあたっての前提等が散見されることから、方法書としての必要要件を欠いている。』『辺野古海域の最大の特徴である、「サンゴ礁生態系」と「内湾生態系」がセットで存在していることに対する基本的視点が欠如している。』という2点を主な問題点として指摘した。
本日出された県知事意見で、本方法書に対し、
- 環境影響評価の項目や手法が適切か、判断するための内容が十分記載されているとは言い難く、審査するに足るものとなっていない、と不備を指摘したこと。
- 今後具体化する事業内容や、調査、予測及び評価の手法と検討した内容等について、調査着手前に沖縄県と沖縄県環境影響評価審査会に報告・協議した上で最終的に決定し、結果の公表を求めたこと。
という2点は評価できる。しかし一方で、県知事意見では、代替施設を「可能な限り沖合へ移動する必要」への対応が求められた。
当協会がこれまで度々指摘してきたとおり、代替施設を辺野古のサンゴ礁域に計画していることそのものが、生物多様性保全上、根本的な問題であるため、たとえ沖合移動を行ったとしても、辺野古海域の自然環境への影響は免れない。
県知事意見では、法的根拠はないものの、事業者である沖縄防衛局に対し実質的な方法書の書き直しを求めている。
アセスの手続き前に、自然環境への影響が懸念される環境現況調査に着手したり、審査するに足らない不透明な内容の方法書を提出するといった今回の手続きは、環境影響評価のプロセスを形骸化するものにほかならず、沖縄防衛局は、本方法書を撤回し、再度位置選定を含めた手続きをやり直すべきである。
以上