希少コウモリの洞くつが滑走路の下に! 新石垣空港アセスの大問題。
会報『自然保護』No.480(2004年7/8月号)より転載
沖縄県石垣市で計画されている新石垣空港予定地に、絶滅の恐れがあるコウモリ3種の生息する洞くつが5カ所あることが、同事業の環境影響評価(環境アセスメント)準備書でわかった。新空港をめぐっては79年の建設発表以降、計画が二転三転、現在の「カラ岳陸上案」が4カ所目の予定地となる。
現在の予定地で生息が確認されているのは「ヤエヤマコキクガシラコウモリ」「カグラコウモリ」「リュウキュウユビナガコウモリ」の3種。いずれも、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコと同じ「絶滅危惧IB類(近い将来、絶滅の危険性がきわめて高い種)」で、一級の生息環境保全が緊急に求められている種である。
準備書によれば5カ所のうち、ヤエヤマコキクガシラコウモリが越冬や繁殖に使っている3カ所が滑走路建設で埋められる。残る2カ所の洞くつ入り口も滑走路からわずか200メートルの位置にあり、影響は避けられない。建設予定地を変更しない限り、石垣島の小型コウモリ類の存続にとって、まぎれもない打撃となる。
洞くつはコウモリ以外にも、昆虫類や魚類などさまざまな生き物の生息環境になっていると考えられるが、総合的な調査はいまだ行なわれず、詳しいことはまったくわかっていない。
NACS-Jは5月7日、準備書に対する意見書を沖縄県知事あてに送り、記者会見で公表した。科学的根拠を持った環境アセスメントへのやり直しを強く求めていくことにしている。
(『自然保護』編集部)