アジア地域自然保護フォーラム日記 3
会議2日目です。会場となっているホテルに缶詰にされたまま、朝から晩まで、さまざまなプレゼンテーションや議論を行っています。
今日は、1時間半から2時間程度のセッションが4つ行われました。
ポイントを紹介します。
■セッション2 プログラム・セッション
ここでは、IUCN(国際自然保護連合)の4カ年計画(2009−2012)について、グローバルな計画とアジア地域の計画の素案が参加者に説明されて、会場からのコメントが求められました。
この4カ年計画は、IUCNやアジア地域事務所が集中的に取り組む「優先度」を定めるものです。アジア地域フォーラムもそうですが、世界各地でこのような地域会合を開き、地域の声を可能な限り拾い上げて、IUCNの今後4年間の方向性を考えていくのです。
計画のサブタイトルは、いまのところ、「持続可能な未来を形作るshaping the sustainable future」とされています。アジア地域では、「気候変動」と「水」を優先課題とする案が説明されました。
■セッション3 「持続可能性」の未来
このセッションでは、「持続可能な開発Sustainable Development」概念を改めて見直すことがメインテーマとなりました。SDの概念は1980年の世界自然保護戦略によってIUCNが提案し、日本政府の提案で始まったブルトラント委員会の報告書で一躍有名になった概念です。
日本においては一昔前には、持続可能とは「開発事業をずっと続けること」という馬鹿げた解釈もされたそうですが、IUCNはこのSDという概念をそろそろ使うことを止めようと考えているように、個人的には思います。
元々この言葉は、1980年以前の「自然保護対開発」の図式を超え、目標を共有するために生み出された言葉として、自然保護側(IUCN)から提案した言葉でした。自然保護が趣味ではなく、社会目標の一つに位置づけられるものであるということを示す役割をSDという言葉が果たしていたように思います。
まだ、IUCNもSDにかわる言葉を見つけていません。そのヒントを模索する議論がセッション4で行われました。それは、また明日ご報告します。
(保全研究部 道家)