白神山地森林生態系保護地域設置委員会小(専門)委員会の判断に対するNACS-Jのコメント 1990.02.28 要望・声明 ー、わが国最大のブナ原生林として白神山地の取り扱いが全国的な関心事となっていたが、今回の森林生態系保護地域設置委員会小委員会の判断は、国民の強い保護の要望を反映したものとして細部に問題がいくつか残るが、基本的にはおおいに評価できるものである。 一、これによって事実上、青秋林道、奥赤石川林道の建設計画は現状で中止となろう。当協会をはじめとし、地元自然保護関係者の永年にわたる、これまでの主張がほぼ入れられたことを率直に喜びたい。 一、なお、約1万6000haのブナ原生林の保全はこれによってはかられることになったものの、当該地域の周辺部には、なお良好なブナ林がかなり残されている。この取り扱いについても、資源を枯渇させぬよう、地元関係者の意向を十分組みとったものとしていただきたい。 一、各地の森林生態系保護地域設置委員会でも線引き作業が続いているが、とりわけ知床、白山、石鎚山などの取り扱いに多くの問題点がいまだ残されている。こうした地域についても白神山地での委員会判断が十分に生かされるよう関係当局に強く望みたい。 一、林野庁は、12カ所の森林生態系保護地域設置を決めたが長野県魚野川原生流域、沖縄県ヤンバル地域など、追加すべき侯補地が数多く残されており、その選定も関係者の意見を十分に反映させて、併せて急ぐべきである。 (財)日本自然保護協会 会長 沼田 眞 発表:1990年2月28日 前のページに戻る