3haのサンゴ移植と、96haの泡瀬干潟埋め立て
2月20日付け沖縄タイムスに、
沖縄県が新年度から、サンゴ移植活動に本格参入するとの記事が掲載されました。
沖縄県が新年度から、サンゴ移植活動に本格参入するとの記事が掲載されました。
「救えサンゴ 県が本腰 新年度から9万本移植へ
民間歓迎「やっと」/開発問う声も」
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-02-20_14711/
記事は、
「新年度から2016年度までの6年間に2海域で計3ha・9万本(のサンゴ)を植えつける計画」で、「初年度に2億3千万円を投入する大がかりな移植事業」と報じています。
週末に電話取材を受けNACS-Jのコメントは、以下のように掲載されました。
「3haを再生させたとしても、県は大規模な海岸の埋め立てや開発事業を各地で進め
ている。なぜサンゴが減ったのか原因を考えるべきだ」(日本自然保護協会・安部真理子)
たとえば沖縄島東部の泡瀬干潟では、96haの埋め立て計画があり、そこには豊かなサンゴ群集や海草藻場が広がっています。
そして、中断していた埋め立て工事が、2011年度中の再開に向けて動き出そうとしています。
NACS-Jが地元の人たちと協力して継続している調査では、すでにこれまでの護岸埋め立て工事の影響で、海草藻場やサンゴが大幅に減ってきていることが明らかになっています。
このまま工事が進めば、96haの貴重な生態系が失われることになります。
2億3千万を投じて3haを再生させるのと、泡瀬干潟の埋め立て工事を進め健全なサンゴ礁生態系を壊滅させることを同時に進めようとしているのです。
そして両方に巨額の税金が投じられる、この大きな矛盾を、県や事業を認可した国はどのように考えているのでしょうか。
本腰を入れて最優先すべきは、今残っている貴重なサンゴや自然をこれ以上失わないよう、
経済的合理性のない開発事業を見直すことなのではないでしょうか。
(安部真理子/保護プロジェクト部)