沖縄の活動の近況です。
保護プロジェクトの安部です。
沖縄での活動の近況をレポートします。
3月9日(水)
沖縄県北部土木事務所の主催で名護市東江海岸の埋め立て工事に関する住民との意見交換会が開催されました。
年度内に完了させる予定の工事ということもあり、この海域の護岸工事はもう9割方終わっています。
あとは砂を投入する作業を残すのみなのですが、地元のNGOである「名名護の自然を守り次世代に伝えたい市民の会」が埋め立てに反対を唱えたことにより、異なる意見を同じテーブルに並べるべく、今回の場が設けられることになりました。土木事務所や環境調査会社も含め合計60名を超える参加があり、本問題に対する住民の関心は高いことを示しています。
このような対話の場を行政が積極的に設けるというのは非常に珍しい例です。沖縄は大きな第一歩を踏み出したと思います。今後も沖縄県が住民との意見交換会を繰り返し開き、住民の納得の行く形で公共事業が進められていくことを願います。
3月10日(木)
【やんばるの森・高江ヘリパッド】
2月23日にNACS-J等の環境保護団体が計画中止の共同要請文を出した国頭村高江ヘリパッド工事の現場を視察しました。
ここはやんばるの森の中に位置し、貴重な生き物が生息している場なのですが、今年1月末から沖縄防衛局による米軍ヘリパッドの工事が強行に進められ、
反対する住民や県民が体を張って阻止し、座り込みをしてきたという経緯があります。
写真:座り込みを続ける佐久間さんとこの日各地を案内してくださった会員の浦島悦子さん。
3月から6月まではノグチゲラの営巣に配慮し工事は行われない(*)という決まり事はあるのですが、今までの経緯を考えると安心できないということから住民による座りこみ活動は引き続き行われています。
*当然のことながらこの期間のみの配慮では不十分です。
【北部の護岸工事】
国頭村沿岸の安田(あだ)、楚洲(そす)、宇嘉(うか)、佐手(さて)、辺土名(へんとな)および大宜味村沿岸の護岸工事を視察しました。安田では人工リーフが広がり、楚洲では沿岸に住む住民が家から海を眺めることもできないほど大きな護岸と消波工、離岸堤があります。
写真1:楚洲の護岸工事
宇嘉ではフレア式護岸という最新式の護岸工事が完了しており、佐手では宇嘉の10倍の規模のフレア式護岸を作るべく大規模な工事が行われていました。
辺土名の海岸にあるこの3つの岩は自然のものではなく人工物で、消波効果の役割の一部を果たしているそうです。また大宜味村沿岸には数々の離岸堤や海岸改変工事が行われていました。
写真2:辺土名の海にある人工物
沖縄島は中部でも護岸工事は行われており計画段階のものも数多くあります。防災は大事ですが、それ以前に人が海の近くに住むこと、沿岸域の土地利用の在り方を考え直した方が良いのではないかと改めて思った一日でした。
参考:国士舘大学地理学教室のページ「沖縄で見てきた人工海岸」
http://bungakubu.kokushikan.ac.jp/chiri/Photo/2010Sept/10Sept.html
(安部真理子/保護プロジェクト部)