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国際照葉樹林サミット~宮崎県綾町でのエクスカーション

2011.05.28
活動報告

 

icon_tsuruda.jpg広報・編集部の鶴田です。
5月21日-22日「国際照葉樹林サミットin綾」のレポート続報です。

 

2日目は、気温もぐんぐん上昇する中、6コースのエクスカーションが行われました。照葉樹林の奥山や保全活動の現場や、森林セラピー体験、里で照葉樹林の恵みを活かす農家・工芸家を回るグループなどに分かれ、マイクロバスで20人ほどずつ出発しました。

宮崎県綾町山の森を回るグループでは、雨に見舞われたり、ヒルに悩まされたところもあったようです。私は前日の第三分科会の話題でもあった、照葉樹林の恵みを活かす工芸家の方や農家の方々を回るグループに参加しました。

綾町は1988年から全国初の「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定した町です。町の中心にある「手づくりほんものセンター」には、朝早くから町内の方々が丹精込めてつくった農産物や工芸雑貨、惣菜を持ち寄り、9時すぎには既に町内外からの大勢のお客さんでにぎわっていました。

熊須碁盤店「熊須碁盤店」では、今では貴重となった常緑針葉樹の榧(カヤ)の大樹でつくる碁盤のお話を伺いました。樹齢200年を過ぎないと碁盤にはできないそうで、柾目(中心のところ)の碁盤は、数百万円もするのだそうです。

少なくとも5年以上ゆっくりと乾燥され、碁盤となる日を待つ木々に、重厚な自然の恵みを感じました。戦国初期の山城を考察再建された綾城もこのカヤの太い柱で支えられていました。

早川農苑お昼には、無農薬・無化学肥料栽培でこだわりの農産物をつくる「早川農苑」で、夏野菜のカレーのランチをいただきながら、お話を伺いました。

命の恵み、自然の恵みを余すことなく活かすことへ情熱をそそがれ、今では四季折々の野菜を一年を通じて全国の家庭に宅配されているそうです。人参100%のジュースは、甘味を全く加えていないのにメロンかスイカが入っているかと思うほどの甘みに驚きました。

「グラスアート宮崎綾工房」の黒木国昭さんは、「綾切子」という独自のガラス工芸を生み出し、国際的にも高い評価を受けられています。

照葉樹林を歩き、木々の花の顕微鏡観察などからも、斬新で緻密なデザインを生み出し、「aya」の名前を世界に届けるメッセンジャーとしても活躍されています。

宮崎からの観光コースの定番ともなり、工房には大勢のお客さんが訪れていました。

照葉窯最後に綾南川のほたる橋を渡り「照葉窯」を訪れました。

工房には照葉樹林の自然をモチーフにした絵付けや、登り窯で樹木の灰が釉薬となるしっとりとした器が並びます。

陶芸家の窪田健司さんは「希少植物を守る会」の会員でもあり、工房には貴重な植物のたくさんの写真が飾られ、観光客も写真を見ながら、絵付けやろくろの陶芸体験をするそうです。

 

14時すぎにエクスカーションは終了し、どのコースもみなさん満足そうな表情で帰途につかれていました。

2日間を通して、綾町の皆さんの熱意と貴重な照葉樹林をこれからも後世に伝えていこうと活動される皆さんのパワー、そして震災後の日本の地域の元気のあり方を提示する、貴重な機会だったと思います。

また国際照葉樹林サミットのご報告は、会報『自然保護』7・8月号でもお届けする予定です。お楽しみに。

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