IUCNアジア地域自然保護フォーラム2日目(海洋のサイドイベント)
保護プロジェクト部の安部です。
2日目の最後のサイドイベントでは「アジア式の持続可能な海洋資源管理区域の可能性について」に出席しました。このイベントはバードライフアジア、自然環境研究センター、IUCN(WCPA-Marine TILCEPA-Marine)により企画されたものであり、愛知ターゲットの6番(持続可能な海の利用)と11番(海洋保護区の設置)を視野に入れたものです。
←愛知ターゲットに基づく海洋保護区の定義を説明する、バードライフアジアのクリスティ・ノザワさん
発表内容は、
鳥と魚の視点(バードライフアジア)、
生態系レベルでの保全計画~黄海での事例の紹介(WWFジャパン)、
韓国のミュアン湿地での地域ベースの管理の事例(エコホライズン)、
ダイビングで有名なタイ湾のコタオ島の地域管理の事例(IUCNタイ)、
フィリピンでの地域ベースでの保全と漁業資源の消滅(ハリボン基金)、
第2回IMCCワークショップと持続可能な海の利用のイニシアティブの報告(国連大学)、
それから、アジア各国からの取り組みの紹介がありました。
アジア地域での会合ですとどうしても男性の年配者の講演者が多くなる傾向があるのですが、この海洋の企画ではWWFジャパンの安村さん以外はすべて女性の講演者でした。海の保全の分野は女性にかかっているのかもしれません。
←国連大学での取り組みを紹介するラケル・モレノ・ペナランダさん
講演者のみなさんにはあらかじめ、「生物多様性を保全する方法として、我々は海洋保護区か持続可能な海洋資源の利用かの、どちらかを選ばなければならないのか?」という質問が渡されています。
海洋保護区を選ぶか、利用を選ぶかというのは、1枚のコインの裏と表のようなものであるから、当然ながら両立は可能であるという意見が出る一方で、
後者を選び地域の人にルールづくりを任せた場合は法的罰則がないために、一部のステークホルダー(内部の人、よそ者)が欲を出しルール違反(密猟など)をするのを止めるにはどうしたら良いかという意見も出ました。
フィリピンにはアポリーフ国立公園(27,500ha)やツバタハリーフ国立公園(96,800ha)などの大きく有名なものを含むと全部で985の海洋保護区があるのですが、有効に管理されているのはその30%のみであるとの話もありました。日本から見るとうらやましい数の多さですが、問題が山のようにあることが紹介されました。
また時間切れで十分に議論できなかったのですが、「伝統的な方法が最も良い」との発表もありましたが、現代の生活様式の全てをいきなり何十年何百年も前に戻す訳にもいきませんので100%は賛成しかねる部分もありました。
海の保全に関心を持つメンバーで海の幸を囲んで1日を終え、今後も協力し合うことができる、さまざまな意味でのネットワークを作りました。写真に写っている料理は韓国の海の幸、アンコウとモヤシの炒め物のお料理です。
←海の幸を囲みつつ保全の話で盛り上がる