丸の内・さえずり館で海をテーマにした2回目のセミナーを開催しました。
保護プロジェクト部の安部です。
ー地域戦略で生物多様性を守ろうーNACS-J企画展&セミナーを実施している、丸の内さえずり館で4月5日、海をテーマにしたセミナーの2回目を実施しました。
前回(3月15日)のセミナーに引き続き、講師はNACS-J沿岸保全管理検討会のメンバーです。
最初のスピーカーは中井達郎さん(NACS-J理事/国士舘大学)から「サンゴ礁とともに生きる」題したお話を伺いました。
サンゴとサンゴ礁の違いから、海外のサンゴ礁と日本のサンゴ礁の違い、昔の沖縄の人たちが多様な方法でサンゴ及びサンゴ礁を活用していたことを紹介いただきました。
そして、最近は埋め立てなどでサンゴ礁をめぐる環境がかなり改変されてしまったことなどを、沖縄県北谷町の埋め立て前と埋め立て後の写真を見せていただきました。
ここを始めとする沖縄の多くの場所ではサンゴ礁の浅い場所(礁原:イノー)が埋め立てにより改変されている場所が複数あります。
またサンゴ移植に関する問題点もあげられました。
最後は、このような自然を守っていくには新しいルールが必要で、そこで生物多様性地域戦略、つまり持続可能な自然利用を基本とした地域づくりが必要という結論となりました。
2人目のスピーカーは清野聡子さん(九州大学)で、「海とともに生きる―海辺に棲む」と題しお話いただきました。
音波探査地図がネットで公開されるようになってから好きな場所の海底がどうなっているのか誰でも見ることができるようになったこと、また東日本大震災以降、人々の海底に対する認識が少し変わってきたのではないかというイントロから始まりました。
そして、日本の海を取り巻く海流について解説いただきました。
五島列島や対馬の辺りには海流が集中しやすいので、マグロやイカも集まりやすく漁業資源の宝庫となっていたものの、最近ではサイズの小さなものも根こそぎ獲られてしまうので、何らかの対策を取らないと、すべて姿を消してしまうそうです。
対馬では漁業者が自主規制を用いることで資源を守ろうとしているそうです。
また海流が集まりやすい海域(石垣島等)では、国内外からの漂着ゴミも多いという話もありました。
質疑応答では、通常の観光ルートでは美しい場所のみが対象となっているが、一歩外れた地域では実はゴミが山のように漂着していたり埋め立てのためひどい光景になっていたりするので、あえてそのようなところにも足を延ばしてみること、都会の人も魚の旬や産地にもっと敏感になること、などがあげられました。
年度初めの多忙な時期であったにも関わらずNACS-J会員、一般合わせて18名の方にご参加いただき、質疑応答や地域での活動紹介なども交え、活発な意見交換がなされました。
←NACS-J会員で、表浜ネットワーク代表の田中雄二さんが、地域での活動事例紹介をしてくださいました。