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続いてカナダにて生物多様性条約第4回「条約の実施とレビューに関する作業部会」(WGRI-4)が始まりました。

2012.05.08
活動報告
icon_douke.jpg続いてカナダより道家哲平です。
5月7日からは、SBSTTA-16に続き、生物多様性条約第4回「条約の実施とレビューに関する作業部会」(WGRI-4  ウィグリと発音)が始まりましたので、初日の様子を先にレポートします。
WGRI-4の議長は、COP10議長国の役割なので、環境省の星野一昭さん(大臣補佐官)が務められています。
生物多様性条約の戦略計画の実施状況で重要なツールとされているのは、生物多様性国家戦略・行動計画(National Biodiversity Strategy and Action Plan、NBSAPと略される)という条約6条で定められた仕組みです。COP10の決議と愛知目標17では、生物多様性国家戦略を作り、又は見直し、効果的な参加と、愛知目標に基づいた国別目標の設定を求めています。条約事務局によると、まだ9カ国しか見直しをしておらず、各国の取組み加速を進める方法を議論しなければなりません。
40近い各国の声明を聞くと、ラテンアメリカの大きな国(ブラジルやメキシコ)や欧米の国は、かなり見直しが進んでいるようで、COP11までに間に合わせようという動きがある一方で、アフリカ、アジアは資金やキャパシティの不足からかまだ着手できていない模様です。
それから、生物多様性日本基金への感謝の言葉が発展途上国から続きます。生物多様性条約の年間基本予算(各国が供出)1200万ドル(このうち20%強を日本が支出)に対し、ボランタリーな供出金として4800万ドルを2015年までの費用として支出しました。
各国代表以外の市民社会、国際自然保護連合(IUCN)からの声明をまとめます。
先住民グループ(ILC):エコシステムアプローチや伝統的知識のメインストリーミングがNBSAPでなされていないことに懸念。この弱点を克服する必要を強調したい。目標18の強調と、ジェンダーの取組みについても触れたい。
IUCN:交渉(ネゴシエーション)から、実施のレベルに移らなければならない。世界的な愛知目標は、各国が意欲的な目標を立てなければ、絶対に解決し得ない。RIO+20においても、自然があらゆる社会の基礎にあることをもっと強調する必要がある。WGRIを通じて、愛知目標のミッションを問い続けたい。2020年まで生物多様性の損失を止めるための行動をとれているだろうか?
NGOの声明:愛知ターゲットについて、既に作られた計画を見ても、エコシステムアプローチや、ILC/ジェンダーなどの社会的な要素が少ない。数値目標なども不十分な状態である。
続いてCOP10で宿題となった資源(資金)動員の目標設定に向けた議論です。
順番として、どこを基準年にするか(2006−2010という案)、進捗を測る報告システム、どれだけの資金が必要かという(ニーズ評価)、どこから資金を得るかという論点があります。

SBSTTA-16最終日の傍聴

それから、昨日5月6日までの
SBSTTA-16の議論でもうひとつ「島嶼作業計画の詳細検討(最終文書)」の紹介をします。
この議論は、小島嶼グル−プがリードする形で進行しました。また、サイドイベントなどで、COP11にて島嶼サミットが開かれることも紹介されました。
COP11決議案について、最終文書(L文書)からポイントと思われるものを下記に挙げます。
・侵略的外来種、気候変動、非持続可能な観光を含む非持続可能な開発が主な生物多様性損失の要因と位置づけ、更なる取組みが、政府の関係部門や先住民地域共同体、NGOの参加のためにも必要で、それが、愛知目標達成にもつながるとしています。
・加盟国に実施の強化を求めつつ、長期の島嶼作業計画の実施のためにも、革新的資金メカニズム(信託基金、気候変動適応の資金、生態系支払い、観光料など)の手当を考慮すベきという文章をまとめました。
・さらに、湿地を含む陸域の保護地域の管理、地方自治体の参加の推進、地域間や国際間の協力の強化を締約国に呼びかける文案を作りました。

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