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東京湾・三番瀬、埋め立て中止! これまでの活動、これからの目標

2002.12.01
活動報告

2001年12月号より転載


 

東京湾奥に残る浅瀬・干潟「三番瀬」の埋め立て計画について、堂本千葉県知事が9月26日の千葉県議会で「101haの埋め立ては行わない」と表明した。地元団体をはじめとするこれまでの自然保護活動の大きな成果である。
 
三番瀬埋立計画の変遷.jpg
三番瀬埋め立て計画(市川二期地区・京葉港二期地区)は、当初740haを埋め立てるものだったが、千葉県環境会議の提言を受けて千葉県は自然環境の補足調査を実施、その結果などを踏まえ1999年に101haへの縮小案を発表した。その後、この見直し案にある下水道終末処理場・第二湾岸道路用地・街づくり支援用地などの必要性と、自然環境への影響について、千葉県は計画策定懇談会、環境調整検討委員会で検討を行った。
 
この間NACS-Jは、地元の自然保護団体や専門家等と意見交換しながら、懇談会の委員として、あるいは意見書の提出などを通して、計画の根本的見直しと市民参加の三番瀬保全の取り組みの必要性を提言してきた。これらの会議は市民に開かれた場とはならず、十分議論し合意形成する場ではなかったが、その経緯の中で、三番瀬が抱える課題が明らかにされたことは意義があったといえる。
 
“三番瀬のあるまち”をつくる

青潮の発生、それによる漁場環境の悪化。人々が海に近づけない垂直護岸・仮護岸の老朽化。不法係留……。埋め立て計画がなくなった今、三番瀬の自然環境保全のためこれら課題への早急な取り組みが必要になった。

いよいよこれからが、持続可能な地域づくりへの本番である。さまざまな立場の人が、お互いの考えを理解しながら、三番瀬の保全と持続可能なまちづくりという大きな目標に向かってひとつひとつの課題への解決方法を見つけていかなければならない。

堂本知事は、「三番瀬の再生計画は、専門家だけでなく、地元住民・環境保護団体・漁業関係者等の方々にも参加していただいて策定したいと考えている」と述べている。すでに地元市川では、地元住民・漁業関係者・事業所・自然保護団体など、これまでともすると開発派・保護派と対立図式におかれていた人たちが参加し、お互いの立場と意見を理解し合うための市民主導のシンポジウムも始まった。具体的な課題には、現状では意見は異なる点もあるが、三番瀬の保全とまちづくりのため共に取り組んでいこうという雰囲気が生まれている。

NACS-Jでは、住民参加の合意形成のあり方について、愛知万博問題などでの経験を生かしながら、関係者に提案、学習の場を提供するなど活動を続けたいと考えている。

(開発法子・保護研究部研究担当専門部長)

 

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