第5回IUCN世界自然保護会議(WCC)の初日。最後のリョコウバト、マーサのお話し。
保護プロジェクト部の安部です。
9月5日は第5回IUCN世界自然保護会議のオープニングセレモニーがあり、韓国のイ・ピョウンパク大統領、IUCN代表、韓国済州島代表などさまざまな方々から、ホスト国韓国への謝意が示され、多様な方々のご挨拶、ご講演を聞くことが出来ました。
その講演の1つであったWildlife Conservation SocietyのChristian Samper博士のお話しを、ご紹介します。
「20年前に最後の個体となってしまったマーサが死んで、リョコウバトは絶滅してしまいました。その悲しいニュースを受け止めながら、二度と悪いことが起こらないようにと努力してきましたが、地球温暖化や大きくなり続ける都会の生活が自然環境に与える影響など、悪いニュースばかりが続いています。
グラフが示すよう、カメ、サル、両生類、哺乳類、鳥類などいずれの分類群もレッドリストへの掲載が多いです。このようななか、唯一の良いニュースは保護区の増加です。残念ながら陸上のものが多く、海のにはまだ手が回りきれないでいますが、確実に多くなっていることがわかります。自然保護を成功させるには、このIUCN世界自然保護会議の場にいないステークホルダーを巻き込むことが大事です。それが出来なければ私たちは20年後に誰かがまたこの縁台に立ち新たなマーサの話をすることになるでしょう。」
▲写真1:リョコウバトのマーサの話をするスピーカーのSamper博士。リョコウバトは1800年代の北アメリカ東部に、数十億羽という膨大な数が生息していた。しかし、食用に乱獲され1907年には野生のリョコウバトはいなくなり、シンシナティ動物園で飼育されていたマーサが1914年に死亡し、最後のリョコウバトとなった。
←写真2:2010年のレッドリストへの掲載種(左からカメ、サル、両生類、哺乳類、鳥類)
←写真3:1911年から2011年までに指定された保護区の数
←写真4:歌手のイルカさん、堂本暁子さんと一緒に。
明日は朝からフォーラムが始まり、多くのワークショップや展示があります。夜にはIUCN親善大使のイルカさんのコンサートがあります。自然保護に取り組む新たな友との出会いや、友との再会を楽しみにしています。