第5回IUCN世界自然保護会議(WCC)ーワークショップ「アジア太平洋における持続可能な海洋および沿岸資源管理」に参加しました。
保護プロジェクト部の安部です。
ワークショップ「アジア太平洋における持続可能な海洋および沿岸資源管理」に参加しました。主催団体はバードライフインターナショナル、国連大学、上智大
学、環境省(日本)、ヴィクトリア大(カナダ)、North Australia Indigenous Land and
Sea Management Alliance (NAILSMA)と多彩です。
ヴァヌアツでは神聖な場所を必ず海洋保護区に含めていることや、カンムリスズメの視点で保護区を設置する海のIBAs(Important Bird Areas)、韓国済州島の沿岸の持続的利用には海女が大きな役割を担っていること、オーストラリアの先住民が果たす役割など多様な話しを聞くことができました。
(→ハリボン財団のMarivic Pajaroさん)
日本の中央水産研究所の牧野光琢さんから「日本の漁業管理システムの愛知目標6と11への貢献(Contribution of Japanese fishery management system to targets 6 and 11 of Aichi Biodiversity Targets)」と題した発表がありました。日本には漁業者がたくさんおり、漁業者自身が行政の役割も担い漁業資源を管理しているので日本には海洋保護区と呼べる場所がたくさんあるとお話しされていました。
これに関してはNACS-Jは全く異なる意見を持っています。
提言書「日本の海洋保護区のあり方~生物多様性保全をすすめるために~」にまとめましたのでご覧いただければ幸いです。
南太平洋版の自主ルールにおける海域保全の取り組みであるLMMA(Locally Marine Managed Area)はもう10年くらいの歴史があるのですが、最近はアジアの国々にも導入されてきているとのことです。日本に応用できる部分がないか、情報収集をしてきました。
(→別の時間帯に行われたLMMA(Locally Marine Managed Area)のワークショップの様子。グループディスカッションをしています。)
印象に残った発表は、カナダのヴィクトリア大のSkye AugustineさんとPhil Deardenさんによる「クラムチャウダーかきれいなビーチか?カナダの先住民の資源の利用と保全の価値観が相反する事例(Clam chowder or clean beaches ?Conflicting perspectives on indigenous resource use and conservation values in Canada)」と題した短い劇。
劇が終わったあとお二人から、「これは極端な会話の事例として取り上げたが、世界中でこのような、通じない会話が行われているのではないか?」と問題提起がありました。
自然保護の世界はどうしても理系の人が多く、学会発表のようなスタイルになりがちですが、劇での発表とは新鮮で、聴衆もみな驚いていました。
※劇の詳細はこちらにまとめました。
内容に関してですが、確かにあちこちでありそうな会話ではあります。
NGOなどが関わる必要があるかと思います。