木曾ヒノキの森の視察に行ってきました。(中編)
編集室の増沢です。引き続き、木曾ヒノキの森の視察レポートです。
翌10月26日は、長野と岐阜の県境の方へ向かいました。
→道中、かつての伐採の跡地が続きます。伐採後30年以上経過している場所もありますが、もともとヒノキの成長が遅いことに加え、ササやカモシカの影響もあり、今も更新が完了せず森に戻っていません。
下の写真の助六実験林は、特に木曾地域特有の湿性ポドゾルという条件の良くない土壌での天然更新を研究している場所です。
伐採率を、50%、60%、70%と変えて更新状況の違いを比較しているそうです。やはりササが問題になるようですが、少し大きくなったヒノキも見られました。
→藪の中に入って見ると稚樹がかなり密生していましたが、このように小さい頃に競合することで、植林したものと違って年輪が詰まり、硬く丈夫な天然ヒノキになるのだそうです。
伐採を見合わせ、手を入れていない森の中は暗く、亜高木層はほとんどありませんでした。しかしこの大きな木がほぼすべてヒノキ!!
こんな光景はほかでは見られません。
午後は三浦(みうれ)実験林に向かいました。
この地域は、1959年の伊勢湾台風で甚大な風倒被害を受けました。一斉に木が倒れた後、ササや厳しい気候条件、土壌条件のために自然の推移だけでは森の更新が進まず、確実な天然更新を進める技術の開発が必要となったそうです。
こうした場所の植生回復手法を確立するためにいろいろな技術が試されているとのことで、さまざまな試験区が設定されています。
(図はクリックすると大きくなります)
帯状伐採と言って、しましまに伐採した区域や、群状母樹法といって親となる樹だけを残した区域、そのまま放置して経過を見る区域など盛りだくさん。ヒノキ産地別試験地というものもありました。
しかし、これらの試験の経過や結果については、まだまとまった成果として報告されていないとのこと。せっかく試験したのなら、結果は公開共有し、次代につなげて行って欲しいと思います。
(写真は、回復しつつあるという帯状伐採地。広葉樹が混交しています)
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