来年見直しの「鳥獣保護法」に照準をあわせ野生動物小委員会を発足
3年目の鳥獣保護法 来春の国会で議論
平成11年に改正された鳥獣保護法は、3年後の見直しを定めた附則により来春の国会で再度議論される。前回の改正では、地方分権により鳥獣の捕獲許可権限が国から地方自治体に移譲された。また、都道府県が個体数のコントロールなどを行う特定鳥獣保護管理計画が認められた。
来春の国会では、これらがうまく機能しているのかの評価に加え、前回の改正に盛り込むことができなかった、猟区の問題や農林被害防除についての検討が必要となる。
生物多様性国家戦略 来春に見直し案のまとめ
現在、環境省では、平成7年に策定された生物多様性国家戦略の大幅な見直しを検討している。現在の生物多様性国家戦略は、各省庁の施策の寄せ集めにすぎないとの批判が多く、環境省は研究者やNGOの意見を聞くための懇談会を開き、来春までにまとめようとしている。
移入種問題の深刻化
人為的に持ち込まれた移入種は、長い年月をかけて作り出された独特の生態系を崩壊させる。しかし、これらの移入種の持ち込みを水際で防いだり、罰則を与える法制度は、現在のところないに等しい。早急にこの問題に対応しなければ、移入生物によって日本固有の生態系を失うおそれがある。
新しい野生生物保護法の提案を目指して
このような状況をふまえて、野生生物小委員会では、「鳥獣保護法」、「移入種問題」、さらに来年で制定10年になる「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称・種の保存法)を3つの柱にして、新しい野生生物保護法制のあり方を検討する。森林・河川などの野生生物の生息地や、貿易関連の法制度も視野に入れて検討したいと考えている。
小委員会委員は、関根孝道氏(関西学院大学・弁護士)、羽山伸一氏(日本獣医畜産大学)、鷲谷いづみ氏(東京大学)、坂元雅行氏(野生生物保全論研究会・弁護士)の4名で構成し、必要に応じて現場で活動している方々をゲストとして招く予定にしている。来年の3月までに提言をまとめようと、議論が始まったところだ。
野生生物の保護のために、どのようなしくみや法制度が必要なのかを、日本自然保護協会として明確に示していきたい。
保護研究部・相馬麗佳