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日本サンゴ礁学会保全委員会に参加してきました。

2012.11.26
活動報告
icon_abe.jpg こんにちは、保護プロジェクト部の安部です。
11月22~25日、日本サンゴ礁学会が東京大学で開催され、それに関連して前日の21日には日本サンゴ礁学会保全委員会がありました。

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保全委員会の最初の1時間は情報交換の時間として、岡地賢さん(コーラルクエスト)、中谷誠治さん(JICA専門家)、NACS-Jからは私、の3名から「サンゴ礁保全に関する国際的動向」に関する話題提供をしました。
岡地さんは7月にオーストラリアで行われたオニヒトデの専門家会合やグレートバリアリーフ(GBR)のサンゴ礁の現状の話、中谷さんはパラオで行われているミクロネシアチャレンジやグリーンフィー(環境税)の話、私からは9月に参加したIUCN第5回世界自然保護会議(WCC)の様子をお話ししました。

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岡地さんのお話しは以下の通り:
世界遺産であるグレートバリアリーフを訪れる観光客数は年間200-300万人で、観光収入だけでも54億ドル(4000億円)となります。1993年7月より、環境税であるリーフタックス(ReefTax)制度を導入し、保全のために有効に使われてきました。金額は1人1日1オース
トラリアドルから始まり6ドルにまであがりました。良いシステムなのですが、現在は観光客数が次第に減少しているのが問題です。
グレートバリアリーフを有するクインズランド州ではサンゴ礁モニタリングのシステムが整っています。1985年から2012年の調査結果を見ると、サンゴの被度が半減しています (参考記事:http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MB9JBK6K512D01.html)。
サンゴ礁劣化の理由の内訳はオニヒトデによる食害が42%、台風の影響が48%、白化による影響が10%となっています。クインズランド州はグレートバリアリーフ観光でその経済を成り立たせているので、サンゴがなくなってしまったら大変です。台風と白化は自然現象であるため打つ手がなく、オニヒトデの食害の方を何とかするために、オーストラリア政府はこの7月に世界各地から専門家を集めました。
グレートバリアリーフのフィッツロイ島で専門家会合を開き、今後の対応方針となる声明の内容を話し合いました。
【この会合にて採択された声明】
・オニヒトデ対策および水質保全対策の予算を大幅増額
・グレートバリアリーフに流出する栄養塩(源)の管理強化
・オニヒトデ大発生の予測と防除に関する調査研究
・駆除対策(注射駆除)の効率化、規模拡大とさらなる投資
・効果的かつ社会に受け入れられる新しい駆除方法の開発
これらに加えて人材育成が検討されています。
さて似たような状況にある沖縄はどうなっているでしょうか?沖縄県でも平成24年度~29年度の予定で「オニヒトデ総合対策事業」に着手したばかりです。内容は大量発生を防ぐ抜本対策、予察にもとづく効果的対策、オニヒトデ大量発生の予察実証、効果的・効率的なオニヒトデ防除対策の検討、オニヒトデ大量発生のメカニズム解明に関する調査研究などがあげられています。
続いて中谷さんからのお話しです。中谷さんはJICA専門家としてパラオに赴任されていたご経験を元にしたお話しでした。
ミクロネシアチャレンジは生物多様性を保全し持続的な自然資源の利用を図るため、パラオがミクロネシア各国に働きかけ、それぞれの沿岸海域の30%と陸域の20%が2020年までに有効な保護下におかれることを共通の目的としたものです。
パラオ国内ではその後目標達成に向け、法整備が整えられてきています。2006年に開始された。パラオではこの目標を達成するため保護区ネットワーク法の施行や環境税・ダイビング税などの取組がなされています。国民全員で2万人と少数であるものの、現場の合意形成などのプロセスはやはり大変です。
私からは、IUCNという組織についての説明とともにIUCN第5回世界自然保護会議(WCC)で海に関する決議や勧告にどのようなものがあったか紹介し、海洋関係のセッションで話題になったトピックである、公海、海の世界遺産、南太平洋版の自主ルールによる海域管理(LMMA:Locally Managed Marine Area)、大きな海洋保護区について、NACS-Jが行った活動などをお話ししました。
(WCCについての参考記事はこちら
実は私たち3名はそれぞれ異なる時期にオーストラリアの同じ大学(ジェームズクック大学)に留学していたことがあるというつながりがあります。会合後は昔話をしながら、沖縄県でも環境税等のシステムを導入し長期にわたり持続可能な保全が行われるようになると良いという話をしました。

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