海に関係した会議や学会に参加しています。
保護プロジェクト部の安部です。
会議や学会の季節が続いています。
11月29日には「平成24年度第2回重要海域抽出検討会」を傍聴してきました。
日本の周辺海域における生物多様性の保全上重要度の高い海域を、平成23~25年度までの3年かけて抽出する委員会があり、年に2~3回開かれる会議がこの検討会です。
NACS-J沿岸保全管理検討会座長の向井宏先生も委員となっています。会議の進捗は、具体的に海域を選定するところまではまだまだいかず、海域の抽出方法を議論・検討されています。
●環境省の重要海域抽出の資料は以下からダウンロードできます。
翌日の30日は、世界銀行東京開発ラーニングセンターで行われた、経済開発に基づく海洋・沿岸生態系における知験共有セミナー「海洋におけるグリーン・エコノミー」 シリーズの「オフショア海洋資源とグリーン成長:ガバナンスの課題」を聞いてきました。
東京の事務所と、ベトナム、フィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、サモア、ワシントンの事務所がネットでつながれて、中継で議論ができるようになっていて、沖合での漁業と資源採掘が議題となり、時間帯が異なる他国の事務所からも活発に質疑応答がされていました。
●当日の配布資料は 以下のサイトよりダウンロードできます。
12月1日は「日本海洋政策学会第4回年次大会 ~新たな海洋秩序・政策構築への日本のイニシアティブ」に参加してきました。
「海洋」という大きなテーマとなると、海賊対策、海洋権益をめぐる国際制度の調整、船舶事故、深海の資源、洋上風力発電、海洋再生可能エネルギー、海洋石油開発など話題が多岐に渡りました。病院船団の構築など夢のある話題もあったものの、NACS-Jとしては海の生きものや自然のことを考えると容認し難い話題も多々ありました。
(写真は、南極海の資源をめぐる国際間制度について大久保彩子さん(東海大)。日本の海分野は女性が少なく、この日の学会も参加者のほとんどは男性で、まだ男社会の分野だと感じました。)
「日本の海洋を総合的に観測するシステムの提案」というタイトルでお話された赤井秀樹先生(金沢大)やパネリストのお一人の道田豊先生(東大・海洋大気研究所)は、日本の沿岸・海域のデータを総合的網羅的に観測するシステムがないという問題提起をされていました。
日本海洋データセンターやJAMSTECが集めてはいるのですが、どこか1カ所に一元化されているわけではありません。
「沿岸域が大事なのに、沿岸域のデータがない。他分野が連携・協力できれば少し突破口ができるのではないか。測るべき項目についても、すべてのパラメーターを測るわけにはいかないので必要なものに絞らざるを得ないのだが、その必要な項目についても話し合う場がない」と道田先生が指摘されていました。道田先生のご意見には大いに賛成でした。
しかし、この日の話題では海の生物という視点がすっぽり抜けており、物理化学的側面や気象の面に話題が限定されているのが気になりました。