2月20日に辺野古アセス訴訟の判決が出ました。
保護プロジェクト部の安部です。
アメリカ軍普天間基地の移設に向けた環境影響評価について市民らが手続きのやり直しを求めている裁判で、那覇地裁は昨日2月20日、原告の訴えを退けました。
この裁判は普天間基地の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価の手続きが違法だとして、市民団体のメンバーら621人が国に手続きのやり直しと損害賠償を求めているものです。
この訴訟では昨年1月に私も証人の1人としてサンゴ分野の証言をしました。辺野古問題の解決および日本の環境影響評価法全体に影響する訴訟ですから良い判決が出て欲しいと願ってきましたが、残念ながら結果は却下でした。
以前からNACS-Jが指摘してきたように、辺野古の環境影響評価は科学的にも手続き的にも多くの不備があるものです。特に大量の追加資料や情報の後出しにより、市民が意見を述べることができないことが1つ、大きな問題でした。
しかしながら、裁判所は、手続き上、住民や知事の意見を聞くように定められているだけで、住民側にそのような「権利」が認められているわけではないと判断し、中身には全く踏み込まず、入り口論で訴えを却下しました。これは知事意見も同様だとしています。
そして損害賠償についてもこうした権利がない上に実際に事業が実施されるかどうか確定していない現状では、現実には環境被害を受けていないとして棄却しました。
これは裏を返せば、被害を受けてから訴えろと言っているようなものです。原告にとっては非常に厳しい内容です。被害を未然に防ぐのが裁判所の役割なのではないでしょうか。
一方、沖縄防衛局は「裁判所の理解が得られたと受け止めている。普天間基地の早期返還・移設に向けて努力していきたい」とコメントしたそうです。原告側は判決を不服として控訴する方針です。
NACS-Jでもこのようなことが二度と起こらないよう、法改正等を求めていきます。
(参考報道)
●辺野古アセス訴訟・判決 やり直し認めず原告の訴え却下(琉球朝日放送)
●辺野古アセスこれまでの流れ(琉球朝日放送)
▲辺野古の豊かな海草藻場。
▲地域の人は美しい辺野古の海に寄り添って暮らしている。
▲辺野古ジャングサウォッチ調査員一同。