自由民主党環境部会の勉強会で「種の保存法」改正に関する提案と要望書を提出してきました。
保護プロジェクト部の藤田です。
2月27日、「種の保存法」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)の改正に関して、自由民主党環境部会で行われた勉強会に出席してきました。
今国会で、22年前に制定された「種の保存法」の改正案が、制定後初めて提出される予定です。このため、自民党議員から、NGOの意見を聞きたいという要望があり今回の勉強会が設定され、NACS-J、WWFジャパン、日本野鳥の会の3団体が出席しました。
今回の勉強会では、環境省から法律改正の説明、NGOの3団体から法律改正に関する意見を述べ、最後に意見交換をしました。
絶滅のおそれのある野生生物を保全するために、国は「種の保存法」を1992年に制定しました。
しかし、絶滅危惧種は最近5年間でも442種増加し3597種となるなど増え続け、同法が指定する国内希少野生動植物種は現在までに90種が指定されていますが、絶滅危惧種の2.5%に過ぎないなどの課題があり、同法が種の保全に有効に機能しているとは言えません。
それにもかかわらず今国会で環境省から提出される法律の改正案は、罰則の強化や登録制度などの部分的な改正にとどまっています。
そこでNACS-Jは種の保存法を抜本的に改正すべく、以下の4つの提言を述べるとともに、自由民主党環境部会長に要望書を提出してきました。
※NACS-Jの要望書全文は>>こちらをご覧ください。
3団体の提案の最後に、WWFジャパンの草刈さんから「今回の見直しを例えるならば、20点の答案用紙を持って来て、頑張りましたから認めて下さいと言うようなもので、到底、合格とは言えません!ぜひとも今回の提出を見送り、根本的な改正に向け一歩踏み出して頂きたい。」の発言で終了しました。
意見交換で出た主な意見
- 議 員:
- NGOから落第点(20点)の法律案と言われているが、環境省としてどう考えているか?
- 環境局長:
- 昨年実施した点検会議で指摘された点に対応し、法律の運用を見直す方針。
- 草 刈:
- 点検会議の委員6名中2名に確認したところ、今回の改正の説明も一切受けていないようだ、誠実さに欠けている。
- 環境副大臣:
- 「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」を全省庁横断の取り組みに修正する。
- 議 員:
- 環境省が国内希少種の指定のための調査費が不足して指定ができないのなら、NGOが調査を進めるという提案もあった。指定が進まない理由はほかにもあるのではないか?本当の理由は何か?
- 環境省:
- 指定のための調査費が不足していることが大きい。
- 部会長代理:
(鈴木議員) - この法案に関しては、多くの意見があったので、改めて調整する。NACS-Jから提案した「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」を全省庁横断に変更することについて副大臣の発言を引き出せた点はよかったと思います。
環境省原案の部分的な改正について、改めて調整することになったので今後も注視していく必要があります。今後も、よりよい種の保存法に改正されるよう、WWFジャパン、野鳥の会、ほかNGOとともに連携して活動を続けていきます。皆さんも是非ご注目下さい。
*今後の予定
3月4日 種の保存法改正を求める記者会見(環境省記者クラブ)
3月5日 みどりの風 勉強会