「新案なら合意は白紙」~愛知万博会場変更案への意見
愛知万博フォローアップ委員会
委員 吉田 正人 | (NACS-J) |
委員 草刈 秀紀 | (WWF-JAPAN) |
委員 古南 幸弘 | (日本野鳥の会) |
昨日(6月1日)の愛知万博最高会議懇談会において、堺屋最高顧問から「愛知万国博のコンセプトとストーリーおよび緊急行動」が発表されました。これは愛
知万博の総入場者数を大幅に増やすため、青少年公園南東部の土砂取り場を会場として拡大する。これができないならば、青少年公園の大規模な地形変更または
地方博への転落を覚悟せよという案であるといえます。この案は、昨年の愛知万博検討会議の結論を無視するものであり、自然保護3団体から出席している委員
としては、これを看過することはできません。この案を強引に進めるのであれば、自然保護3団体としては、昨年の愛知万博に関する合意は白紙に戻されたもの
と考えざるをえません。私たち3委員は、以下のような理由から、総入場者の増加、土砂取り場会場の拡大に反対します。
1.愛知万博検討会議報告書における総入場者数1000万人超という枠を大幅に上回る規模(2000万人)に変更するのであれば、会場の位置についても笹
島操車場跡、金城埠頭など様々なオプションを含めて検討し直すべきである。複数案の比較検討なしに土砂取り場が青少年公園に近いからというだけの理由で選
ばれるのは、海上の森から青少年公園に拡大した時と同じ過ちを繰り返すものである。
2.BIE登録申請とは異なる会場計画を作るのであれば、課題となっていた青少年公園会場の負荷の問題を解決できるようなものでなくてはならない。報道さ
れているような土砂取り場会場計画は、入場者数を大幅に増やすために拡張するものであり、青少年公園への交通アクセス、処理施設問題など残された課題を解
決するものにはならない。むしろ3方向からアプローチすることで、青少年公園の森林やオオタカなどへの負荷が高まる可能性がある。
3.堺屋最高顧問は、愛知万博計画を大幅に見直す必要がある理由として、コンセプトがあいまいなままに会場が決まったことを指摘していた。このたび発表さ
れた「愛知万博のコンセプトとストーリー及び緊急行動」にはヘクタールビション、グローバル庭園など、あえて海上の森や青少年公園や隣接地を利用する必要
のある内容は見いだせない。このようなコンセプトの万博を開くために青少年公園の隣接地に会場を拡大するというのは、堺屋最高顧問の先の指摘と自己矛盾す
るものである。