「サンゴ礁の破壊を憂慮」 IUCN、西表のサンゴ礁の保護を訴える
『自然保護』No.294(1987年11月号)より転載
1986年8月
国際自然保護連合事務総長
Keton R Miller
沖縄県知事 西銘順治殿
サンゴ礁は世界的に失われつつあり、その保護が叫ばれる中、国際自然保護連合(IUCN)の事務総長ミラー氏が、西表のサンゴ礁の保護を訴えるアピール文を西銘沖縄県知事に提出した。以下がその全文である-。
私は、国際自然保護連合(IUCN)を代表して、西表国立海中公園のサンゴ礁の状態についてあなたに手紙を書きます。私たちは、海中公園付近の陸上部で行なわれた不適切な活動のために、そのサンゴ礁が破壊されているという報告を受け、心配しております。
IUCNは、陸上部の熱帯雨林に匹敵する最も多様な海の生態である、サンゴ礁を保全する仕事を長年してきました。私たちは、日本がこの件に関して行なった保全活動をおおいに心強く思っています。しかし、西表海中公園のように保全対策のとられた地域が、離れた地点で行なった活動によって破壊されているとき、大変憂慮いたします。
それゆえ、私たちは、あなたに、このサンゴ礁の破壊の原因を調査することと、サンゴ礁に影響をあたえる地域の土地利用の適切な管理を確実なものとするために、どんな手段が講じられるべきかを決定することをしていただきたいのです。私たちは、サンゴ礁にさらに被害をおよぼすかもしれない、新たな建設はいかなるものでも、非常に注意深く考慮されるべきだと助言いたします。
IUCNは、要請があれば、この件に関する技術的な助言を喜んで提供いたします。私たちは、この手紙に同封した「海洋と海岸の保全地域-:計画者と運営者の手引き(Marine and Coastal Proteced Areas:A guide for planner and manager)」という私たちの本をあなたに推薦します。IUCNは、援助の用意がありますのであなたの都合のつきしだいこの問題についてあなたからの手紙の届くことを期待します。