ラムサール条約事務局長来日記念シンポジウムとNGO面談のご報告。
保護研究部の福田真由子です。
ラムサール条約のクリストファー・グレッグス事務局長が中池見湿地を訪問した翌日の4月10日に東京で条約事務局長来日記念シンポジウムがあり、NACS-Jスタッフも参加してきました。
広報が直前だったにも関わらず、NGOや企業・専門家など湿地で活動する主要な方々が集まっていました。
ラムサール条約事務局長からは湿地の経済や文化などの多面的な価値についての発表があり、日本のラムサール条約湿地の事例として「円山川下流域と周辺水田(兵庫県豊岡市)」、「片野鴨池(石川県石川市)」の水田耕作をしながらコウノトリやトモエガモなど生物の多様性を守っている日本らしい取り組みの発表がありました。
パネルディスカッションでは条約事務局長から「条約湿地の利用、保全、鉄道に関する開発などの意思決定をどのように湿地の価値を維持しながらしてきたか、日本の経験を世界に共有してもらいたい。」との発言があり、北陸新幹線の路線計画の意思決定に関しても世界が注目していることを示していました。
将来、中池見湿地の問題が条約湿地として評価されて解決された好事例として、このようなシンポジウムで日本から紹介できるよう、NACS-Jは地元の市民団体などと協力して解決してきたいと思います。
11日はNPO法人ラムサール・ネットワーク日本の会員として条約事務局とNGOとの意見交換の場にNACS-Jスタッフも出席しました。
その中で水田決議に関する情報提供とともに、同日行われた新幹線計画に関する条約事務局・国交省・鉄道運輸機構との意見交換についても話がありました。
今回の条約事務局長の視察などにより中池見湿地のラムサール条約湿地としての国際的な価値(自然と文化)が改めて認識される大きな出来事となりました。現在、中池見湿地では事業者によりアセス後の調査が行われ3月には専門家委員会で一定の結論を出す方針となっています。
NACS-Jでは中池見湿地の自然を守るために今後も国内外の様々な方と協力していきます。