カヤネズミ・市民調査企画展の様子をお届けします!
こんにちは、保護・研究部の後藤ななです。
今年も日本自然保護協会(以下、NACS-J)には、さまざまな大学からインターン生が実習として、NACS-Jの事業に参加されています。
今回は、現在多摩動物公園で開催中のカヤネズミ・市民調査企画展について、7/6(日)に展示スタッフとして参加された損保ジャパンCSOラーニング生の遊佐陵汰さんに、会場の様子を伝えていただきました。
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みなさん、はじめまして!2014年度損保ジャパンCSOラーニング生として以下、NACS-Jにインターンをしている立教大学法学部3年、遊佐陵汰(ゆさりょうた)です。
一年間、生き物のこと、その魅力と大切さについてたくさん感じて学んで行きたいと考えています。よろしくお願いします!
今回は、NACS-Jが主催となって、多摩動物公園(東京都日野市)にて行われている企画展「草原の小さな住人 カヤネズミ-身近な自然を見つめ、調べ、支えてゆく-」のレポートです。
7/6(日)は企画展初めての週末で、晴天にも恵まれ、本当にたくさんの方に足を運んでいただきました。
カヤネズミはカヤ原と呼ばれる背丈の高い草はらに生息します。原っぱには餌になる昆虫やイネ科の植物も多く生育し、原っぱに生えた草自体も巣になります。
←写真:草を編んで作られたカヤネズミの巣。
しかし、NACS-Jが、全国約200ヶ所において市民調査員の方と共に実施している「モニタリングサイト1000里地調査(以下、モニ1000里地調査)」の調査結果によると、カヤネズミの生息環境が危機的な状況に瀕していることがわかってきました。
かつて人々は、生活に必要な食料、燃料、資材などは、民家のまわりに広がる田んぼやため池、雑木林などの環境からなる「里やま」の中で入手していました。そのような里やまは、人間にとって不可欠な環境であったのと同時に、多くの動植物にとっても居心地のよいのすみかでした。里やまは「人間の生活の持続」のために管理・利用されながら「生物多様性の保全」もなされる環境であり、人と自然が「持ちつ持たれつ」の関係であったといえます。
カヤ原も、里やまの中でも建築資材(茅葺屋根など)や牛馬の肥やしなどのために盛んに利用されていましたし、河川敷にも多く広がっていました。しかし、現代では都市化が急速にすすみ、里やまは放棄または開発され、河川も治水のためにコンクリートで固められたりしています。そのため、多くの生き物のすみかも急速に減少しているのです。「カヤネズミ」も例外ではなく、人間の生活環境の変化の影響を受けています。
→写真:カヤネズミ
そんな「カヤネズミ」、姿を見たこともなければ名前を聞いたこともないという方が多いのではないでしょうか。私自身も、ついこの間まで「カヤネズミ?ただのネズミと何が違うの?」なんて思っていました。
この企画展の魅力は、なんといっても本物のカヤネズミをご覧いただけるところにあります!河川敷の環境を再現して、展示されています。
→写真:カヤネズミの飼育展示の様子
生体展示の箱の前で「この箱のなかのどこにカヤネズミがいるのー?」という一生懸命に探す子どもさんの声をよく聞きました。
実はカヤネズミはとても体長が小さい(大人のカヤネズミでも人間の子どもの手のひらにのる大きさ)ので、見つけるのがなかなか大変なのです・・・・!
運がいいと、左の写真のように手前に顔を出しに来てくれます。とってもかわいいでしょう!!
カヤネズミはとても身軽で手先が器用なので、野外では背の高い草の上のほうで生活しています。子どもたちが地面や草の上の方を一生懸命探して「あっ、ネズミさんみつけたー」とうれしそうに声を上げていたのが印象に残っています。
とってもかわいい本物のカヤネズミを観察したあとは、塗り絵を楽しむこともできます(下写真)。
こちらも大盛況!塗り終わったものは草はらの生きものたちからのメッセージつきのステキなお土産になりますよ!
週末には大判塗り絵も用意しています(下写真)。みんなで力を合せて塗り絵を完成させよう!7/6(日)現在、全体の1/3くらい塗られています。
▲左:大盛況の塗り絵コーナー、右:大判塗り絵に色をつける損保ジャパンCSOラーニング生の遊佐陵汰さん。
また企画展内では、全国各地で調査が行われている「モニ1000里地調査」の活動についてもご覧いただけます。こちらのコーナーも、全国の調査地での調査や保全の活動の様子がわかりやすくまとめられ、大変面白い展示となっています。ぜひご覧になってみてください!
この場が、小さな草原の生きものを知るところから、身近な自然に目を向けるキッカケになれば幸いです。
【おまけ】
多摩動物公園駅へつながる京王電鉄の動物園線の車内では、当企画展の中吊り広告をご覧いただけます!お越しの際はぜひご覧ください!