リニア中央新幹線関係のシンポジウムで発表をしてきました
保護・研究部の辻村です。
7月20日、長野県大鹿村で開催されたリニア中央新幹線問題に関するシンポジウム(主催:「南アルプスの自然を愛する会」全国ネット)に参加しました。
この日は、電磁波環境研究所所長の荻野晃也氏が、電磁波の健康被害に関する最新の疫学的研究成果について報告されました。
ルポライターの梶田秀樹さんは、山梨実験線で実際に発生した地下水や河川水の枯渇問題と静岡県で計画されている建設残土置き場の危険性について現地でのレポート結果を発表されました。
辻村からは、南アルプスの隆起量評価と活断層を横断することの危険性、
さらに植生自然度から見た南アルプスの重要性について話題提供をさせて頂きました。
会場からは今後の反対運動の進め方や、地域社会が抱える課題などについて活発に意見が出されていました。この模様は、信濃毎日新聞の21日の紙面に掲載されました。
翌日の21日には、岐阜県中津川市で、リニア中央新幹線に関連した、濃飛横断道路計画に関するシンポジウムが開催され、これにも登壇させて頂きました。
この日は、前中津川市長の中川氏のコーディネートで、名古屋大学名誉教授の糸魚川氏、森林総合研究所の菊池氏、法政大学の富田氏、ハナノキ友の会代表の所沢氏と辻村が話題提供をしました。
それぞれご専門分野からの問題指摘が出され、100名以上集まった会場からも大きな拍手が沸き起こっていました。
辻村からは、日本自然保護協会が独自に実施した地形解析結果を報告し、複雑な地表水の挙動を阻害する道路計画は、環境保全措置としては回避が原則であり、透明性のある場で専門家による議論を経て、回避策が立案されるべきであると指摘させて頂きました。
中津川市坂本にあるハナノキ湿地は、その多くが保護担保措置を取られておらず、開発の危機に瀕しています。
この湿地の価値は、氷河期の生き残りという観点で、世界自然遺産に登録された白神のブナ林と同様の価値を持っていると考えられます。こうした地球の宝ともいえる自然環境がしっかりと残されるよう、日本自然保護協会として今後もこの問題に対応していきたいと考えています。